本社公認「L」消灯 看板「LAWSON」→「AWSON」で待ち続けたら、ツバメが「今年も帰って来ました!」
「うちの子が帰って来たみたいです」ーー弾んだ声の主は、ローソン道後ハイカラ通店(愛媛県松山市)オーナーの吉本周作さん。店頭看板「LAWSON」の「L」の文字にツバメが巣を作ることで有名なお店です。喜びもひとしおなのには、昨年の“異変”があったからでした。
■「L」消灯はローソン本社公認
同店には毎年、春になるとツバメが訪れ、店頭の看板「L」の文字に巣を作ります。日が暮れると「AWSON」の文字だけに照明の光が灯ります。理由は吉本さんがヒナたちの成長の邪魔にならないようにと、巣のある「L」の照明を消しているから。ローソン本社の広報担当者も「事情が事情ですので」と公認です。ネット上では「優しいローソン」と呼ばれ、道後温泉を訪れる観光客にも人気のスポットです。
■コロナ禍に異変…消えたツバメ
しかし2020年春、ツバメの巣に異変が起きます。
親鳥が卵4つを残し突然姿を消したのです。吉本さんはコロナ禍による人通りの変化が影響したのではないかと心を痛めました。「ツバメは人通りが多い方が外敵から身を守りやすいのではないでしょうか。このままそっと1年待とうと思います。来年の春、元気で戻ってきてほしいです」。ツバメがいつ戻ってきてもいいように「L」の照明を消したまま待ち続けました。
■待つこと1年「感動です」
そして2021年春。お店の周辺では5月ごろからツバメの巣作りや巣立ちが盛んでした。しかし吉本さんのお店には戻ってくる気配はなし。「さびしいなあ」。
例年よりも遅い6月初め。吉本さんは偶然、店の看板の「L」の文字の前を頻繁に飛ぶツバメの姿を目にし、思わず声を上げました。「おるやん! おかえり!」。お店のスタッフたちも「温かく見守ろう」と色めき立ちます。5日ほど前には卵を産んだ気配もありました。
さらに吉本さんはあることに気付きます。「おととしの子や」。
「一昨年、飛ぶ練習が下手な子がいたんです。飛び立つのも一番最後で。(親鳥は)その子に体の模様が似ています。ずっと心配していました。帰って来てくれて感動しています。卵が無事にかえることを願っています」
「外敵に襲われないように」と店頭の巣を気に掛けながらお店を切り盛りする吉本さん。親鳥のような気持ちでヒナの誕生を心待ちにしています。
(まいどなニュース・金井 かおる)