空き家で野良猫が4匹の子猫を産んだ 母猫に見捨てられた1匹を放っておけずウチの子に
■母猫に見捨てられた子猫
ちゃみの助くんは野良猫が空き家で産んだ子猫だった。
山口県に住むNさんの近所には野良猫が多く、2020年10月初旬、Nさんは子猫の鳴き声がするのに気がついた。「子猫が産まれたのかな」と気にかけていたのだが、しばらくすると空き家の窓枠から4匹の子猫が顔を出すようになった。ちゃみの助くんは、その中の1匹だった。
4匹のうち1匹はみんなより早く母猫と一緒に外に出るようになったが、毒餌を食べて死んでしまった。それ以来、Nさんは子猫たちのことが気になった仕方なかった。10月下旬になると、ちゃみの助くん以外の子猫も母猫と行動を共にするようになったが、ちゃみの助くんだけは窓枠から降りられず、母猫にも見捨てられて鳴いているだけだった。
10月22日、Nさんが仕事帰りに様子を見ると、ちゃみの助くんが窓枠のところで鳴いていた。
「放っておいたらこの子は死んでしまうと思いました。いったん帰宅して母とごはんを持って近づくと、逃げることなく手のひらに乗ってくれたので、このまま我が家に連れて帰って育てることにしたんです」
■先住猫や先住犬とも打ち解けて
動物病院の獣医師からはだいたい生後3か月くらいと言われたが、かなり細くて真菌もあり、Nさんは、最初はいろいろ気をもんだ。
先住犬のキッドくんと先住猫兄弟のカイくんとギル坊は、ちゃみの助くんに興味深々。ケージの中に入ったり、ごはんを盗み食いしたり、怒ることもなく優しく受け入れてくれた。その様子を見てNさんは安心した。
ちゃみの助くんは、最初は新しい環境に緊張し、威嚇していたが、3日ほどでみんなと打ち解け、一緒に過ごすようになった。特にギル坊がよく面倒をみてくれて、ごはんを食べる場所や水飲み場、トイレを教えてあげていた。この時ギル坊が甘やかしすぎたので、ちゃみの助くんはいまだに便をした後、ちゃんと猫砂をかけることができない。
■「ごは~ん」と鳴くのが得意
ちゃみの助くんはかなりびびりで消極的。人が少し怖いようで、いつも猫か犬と一緒にいる。ただ、ごはんが大好きで、ごはんの時間になると一番大きな声で、まるで「ごは~ん」と言っているかのように鳴く。
「家に来て1年半経ち、3月に4匹目の猫が来てからは少し積極的になり、前より近くにきてくれることが増えて嬉しいです。ちゃみの助のおかげで我が家の幸せも倍になりました」
Nさんは、何年かってもいいから、いつかちゃみの助くんの方から甘えにきてほしいと願っている。ちゃみの助くんのような野良猫が減り、保護猫に関心を持ってくれる人がもっと増えればいいとも思っているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)