あの「廃墟の女王」をVRで全方位ぐるりと楽しめる! 迫力の「産業遺産」写真展が大阪で開催
軍艦島や富岡製糸場が立て続けに世界遺産に登録されるなど、近年、注目を集めている産業遺産。朽ちたホテルでありながら、優美なたたずまいから「廃墟の女王」とも呼ばれてきた摩耶観光ホテル(神戸市灘区/通称・マヤカン)が今年3月、登録有形文化財に登録されたのも記憶に新しい。そんな日本の近代化や経済成長に貢献してきた数々の産業遺産を、写真とVR(360°画像)で楽しめる写真展示会が7月10日から開催される。25日まで。
産業遺産の記録・調査・保存活用などを手がけるNPO法人「J-heritage」(神戸市兵庫区)が「VRでめぐる先人の記憶 産業遺産360°」と題して開催する。現役当時の痕跡を色濃く残す産業遺産の魅力を迫力ある写真で多くの人に知ってもらいたいと企画された。
普段は立ち入ることのできないスポットを含む、およそ15カ所の産業遺産写真が展示される予定。そのラインナップの中には、あの「廃墟の女王」マヤカンの名前も並んでいる。
■VRゴーグルを使った仕掛けも魅力
しかも、会場で1人に1つ配布される簡易VRゴーグルと来場者自身のスマートフォンを組み合わせることで、目の前に廃墟が立ち現れるという仕掛けになっているのもうれしい。
腐敗して今にも抜けてしまいそうな床、窓枠から見える“向こう側”の生き生きとした情景、剥げ落ちた塗装や装飾品…。長い時間を経て作り出された廃墟ならではの美しい景観を、臨場感のある映像で独り占めするという贅沢な体験ができそうだ。
■展示予定の産業遺産
特設ウェブサイトで公開されている展示予定の産業遺産を一部ご紹介。
【摩耶観光ホテル】
1929年に完成後、戦争や災害で何度も休止再開を繰り返し、93年ごろ閉鎖された。「廃墟の女王」として人気。
【鶉野飛行場跡】
太平洋戦争中に姫路海軍航空隊によって造られた。大戦末期には局地型戦闘機「紫電改」の試験飛行が行われた。
【湊川隧道】
1901年に造られた日本初の河川トンネル。完成当時は世界最大級の規模を誇っていた。現在は毎月一般公開を開催。
【三池炭鉱万田坑】
三井財閥が総力を挙げて三池炭鉱に造った代表的坑口。海外の技術を駆使した大規模な坑道で日本の近代化にも大きく貢献した。
「ちょっとそこまで、産業遺産を見に」が実現してしまう、マニアならずとも垂涎の写真展。関連グッズの販売も予定されているそうなので、こちらも期待したい。
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写真展示会「VRでめぐる先人の記憶 産業遺産360°」
会期:2021/7/10(土)~7/25(日)
会場:シカク(大阪市此花区梅香1-6-13)
※会場内が混雑した場合、入れ替え制や整理券発行などの入場制限を実施する場合があります。
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