天国からのメッセージ「ありがとう」「どうか笑っていてね」をあの人に 万が一に備えて想いを預かるサービス登場
自分の身に万が一のことがあったとき、大切な誰かに残したいメッセージはありますか?
「ありがとう」の感謝の気持ち、「どうか笑っていてほしい」という願い。そんな想いを預かって、大切な人に届けてくれるサービスが登場しました。その名も「OMOIDE」です。
「OMOIDE」は、おもいで株式会社が2019年にリリースしたアプリ。これまでは、未来の自分や大切な誰かに、自分で設定した日時にメッセージを届けるサービスを展開してきましたが、2021年6月、万が一のときに大切な誰かにメッセージを届けてくれる「お預かり」機能が追加されました。
「お預かり」サービスでは、自分の安否について回答できる「おもいでの守人」をあらかじめ最大3人まで指定。ユーザーが一定期間アプリを使用しないと、まずはユーザー本人にアプリ起動を促す連絡が数回入り、それでもアプリ利用が確認できない場合、守人にユーザーの安否を尋ねるメールが送信されます。
守人によってユーザーの不幸が確認される、もしくは守人からも一定期間連絡がなかったときは、アプリで預かっていたメッセージの送信が開始されます。
この「一定期間」はユーザーがそれぞれ指定でき、旅行などで長期間アプリを使用しない際は、期間を指定して安否確認を一時停止することも可能。「おもいでの守人」の指定、またメッセージを届けるために必要なのは相手のメールアドレスだけです。
メッセージと同時に画像や動画も送信でき、メッセージを届ける人の数にも制限はなし。サービスの利用には、「OMOIDE STORE」で購入できるコインが必要ですが、「お預かり」サービスなら、およそ30円で1人に1メッセージ+画像が送れます。
残す人、残される人、それぞれの想い
「僕のふたつの経験が、サービス着想のきっかけになりました」と語るのは、同社代表の奥野和弘さん。そのひとつが、おばあさまをなくされたときの経験だそうです。
「祖母が亡くなった後、若い頃の祖母の話を母や親戚から聞かせてもらったのですが、そこには僕の知らない祖母の姿がたくさんありました。そのときに、見送った人間というのは後になって『あの人のことをもっと知っておけばよかった…』と後悔するんだなと感じたのです」
そしてもうひとつは、がんを患った家族を看病しているときに見た夢だとか。
「夢の中の僕はがんを患っていて、その晩に亡くなることを知っていました。そこに友人たちがたくさんお見舞いに来てくれたのですが、みんなは僕が亡くなるのを知らないから『またな!』と言って帰っていく。その姿を見て『彼らのこれからの人生に、自分はもう登場しないんだ』と感じてすごく寂しくなったんです。人間は、生きた証を残したい気持ちが強くあるものだと聞いたことがありますが、夢を通してそれを痛感しました」
こうした経験から、大切な人にメッセージを残すサービスを考案したという奥野さん。「はじめは、自分が亡くなった後に友人や家族にちょっとしたジョークなんかを定期的に届けて、たまに思い出してもらえたらいいなと思っていました。でも、この話をいろんな人にしていたら『未来の自分にメッセージを届けるのもいいのでは?』など、“未来にメッセージを届ける”ことにまつわるいろんなアイデアが出てきたんです」
「考えてみれば、そもそも人間って未来に対する想像力が足りないから、わかっているけれど自分を甘やかしたりするのだと思うんです。『未来を想う』ことが習慣化されるよう、仕組みやプラットフォームを作ることができれば、ちょっとだけ世の中が変わるかもしれない。そんな想いが、OMOIDEアプリ開発のきっかけになりました」
この想いに、トップエンジニアやwebディレクターなど、その道のプロたちが共感。「兼業かつボランタリーでいい」と奥野さんのもとに集まり、各々が投資をして「おもいで株式会社」が設立されました。
それぞれのスキルを惜しみなく注ぐことで、気になる誤送信やセキュリティ対策も万全に。今後はニーズに合わせてメール以外の登録・受信を可能にするといった各種アップデートのほか、家族や友人との思い出共有のために、観光施設との連携も視野に入れています。
「OMOIDE」アプリでは現在、6月末までの期間限定で、アプリのインストール+「おもいでの守人」1人設定で、「お預かり」サービスに使えるチケット(クーポン)1枚をプレゼント中。万が一の備えのひとつとして、大切な人に届けたい「ありがとう」や「楽しかったね」を預けてみてはいかがでしょうか。
※日本では現時点で電子的な遺言は認められていないため、「お預かり」サービスに遺言の効力はありません。
(まいどなニュース特約・鶴野 ひろみ)