うさぎがいるから猫は飼えないと思っていたが…保護した子猫を世話をしているうち「もう他の人に渡せない」

リボンちゃん(5歳・メス)は、2016年6月10日の夜、コンビニの駐車場をうろついていた。岐阜県に住む好田さんは、たまたまコンビニに出かけたところリボンちゃんを見つけた。周りに母猫の姿もなく、このままでは車にひかれるのではないかと心配になり、保護することにした。

「職場のビルの近くにも野良猫がいますが、近づくとすぐに逃げてしまうので、逃げてしまうかなーと思いながらゆっくりゆっくり近づきました。手をだして、おいでーという感じで一歩ずつ腰を低くして距離を縮めていくと、逃げずに近寄ってきて、よちよち歩きだったので、すぐに抱っこして連れて帰りました」

好田さんは、きっとお腹が空いているだろうと思い、母親にリボンちゃんを見てもらっている間に、猫用ミルクと哺乳瓶、パウチのごはんを買ってきた。リボンちゃんは、バクバク食べた。ミルクを温めて哺乳瓶に入れて飲ませようとすると、先端のゴムの部分を噛み切ってミルクと一緒に飲み込んでしまったので、好田さんは慌てた。

「こんな小さな体にゴムが入ってしまったので、どうしようかと思いました。よほどお腹が空いていたのだと思います。ひとまずその夜は簡易的に作った段ボールハウスで寝かせることにしました」

■うさぎと猫が一緒に暮らせるのか

いきなり知らないところに連れてこられて、怖がるかと思ったが、リボンちゃんはごはんを食べたら元気になり、段ボールハウスから「出して、出してー」と動きまわっていた。

翌朝すぐに病院へ行くと元気な320gの女の子だった。

「食べてしまったゴムのことが気になり獣医師に尋ねると、パウチを食べられるのなら、便と一緒に出てくるでしょうと言われました。初めて子猫にごはんをあげたので、どうしていいのか分からず、安心しました」

好田さんは、うさぎを飼っていたので猫を飼うのは無理だと思い、里親を探すことにした。しかし、一日、二日と世話をしているうちにどんどん可愛くなり、段ボールハウスでは狭いしかわいそうだと思い、ケージを買いにいったり、爪研ぎやおもちゃを買ったりした。結局、他の人に渡せない、すぐに自分で飼うことにしたという。

それまで子猫と触れあうことがあまりなかったので、好田さんは「とにかく可愛い」と思った。子猫はよく寝ると聞いていたが、リボンちゃん元気いっぱいで、よく遊んでいた。おもちゃや、爪研ぎなど、新しい物に怯えず食いついてくるところも可愛かったという。

「保護した時からうちの子にしたいと思ったのかもしれません。ただ、うさぎは繊細な動物なので、ストレスを与えたくないなとか、仲良くなれないかなとか悩みました」

■猫は家族、子供と一緒

白い顔に黒いリボンがのっているような柄だったので、名前はリボンちゃんにした。

うさぎと猫、最初は別々の部屋で飼い、1日数分だけ会わせて少しずつ近づけた。うさぎは、「なんだこの子?」という感じで怒らず受け入れてくれた。子猫のリボンちゃんは、ちょっと甘えるようにうさぎにくっついたり、うさぎをペロペロ毛繕いしたりした。

リボンちゃんは、とにかく怒らない穏やかな子だという。ヘアゴムを投げると取ってきてくれる。トイレの手洗いの水を飲むのが好きで、「水を流して~」とトイレの前で待っていて、「お水飲むの?」と聞くと、ニャーと返事をする。

「猫を飼う前は、猫は気まぐれだと思っていたのですが、毎日帰りを待ってくれていて、スリスリ甘えて、こんなに可愛いんだと初めて知りました。表情、鳴き声、動きなどでいろんな気持ちを表現するし、こちらの言葉も結構分かります」

好田さんは、リボンちゃんを保護してから、猫を見かけると気になるようになり、他の子も保護するようになった。2021年、うさぎが亡くなり、6匹の保護猫がいるという。

「最初に育てた子がリボンだったから、猫って意外と飼いやすいんだ、懐くんだと思えたし、何より癒してもらえました」

好田さんは独身だが、猫は家族、子供だと思っている。

「他の猫がどんどん増えて、ヤキモチを焼くので、リボンだけの時間を作って、リボンの好きなトイレに一緒にこもって、チュールをあげています。その時の嬉しい顔がまたかわいいんです」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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