ある日、2人の障害者の母になった経験生かし“キャンドル団体”を設立「生きづらさを感じている人のために」
心を癒やし、彩りのある生活を提案する一般社団法人「ハンドメイドキャンドル協会」(大阪府豊中市、角尾みなこ代表理事)の活動が注目を集めている。障害者や生きづらさを感じている人たちを対象に作る楽しさだけでなく、作品で収入を得てもらったり、講師の資格を発行するなど、キャンドルを通して活躍ができる場も提供。今、キャンドルで人の輪が広がっている。
■「人々を癒したい」と誕生した協会
一般社団法人「ハンドメイドキャンドル協会」は令和元(2019)年8月に誕生した。エステティシャンとして20年以上、美容業界に携わってきた角尾みなこさんが代表理事を務める。
「キャンドル作りがみなさまの癒しになればうれしいですし、何より元気を届けたい」
角尾さん自身も障害のある2人の子どもの母親。そのことが設立の大きなきっかけになった。
「自宅でエステサロンを開業してしばらくたった時、当時中学2年の次男が知的障害だと判明しました。また、長男は強迫性障害で引きこもり傾向があることも分かりました。2人の障害者の母になったことで、同じように生きづらさを感じている方々が社会につながるきっかけになればと、協会を立ち上げることにしたのです」
協会では手作りキャンドル教室を中心に販売、講師養成を実施。コロナ禍のいまはオンライン販売に切り替え、昨年12月からは通信講座も開設した。
「キャンドル作りは、障害のある方やその親族の方々が集える場になっています。キャンドルを作ることで癒され、自己肯定感や達成感も得られます。さらに、作品が収入源になればやる気も出るでしょうし、将来を不安に思っている方には作り方を教える講師になって収入を得てほしいとも考えました」
角尾さんも障害のある2人の子どもを持つことで、将来不安に苛まれたことがある。その時、ジェルキャンドルに出合い、これを仕事にできないかと考えたという。
「もの作りは無になれて癒しにつながり、自宅でも作れる。それに、キャンドルの炎には『1/fのゆらぎの癒し効果』があり、さらにマイナスイオンも発生。リラックス効果をもたらすので、一石二鳥以上の効果が期待できます」
また、豊中市が「SDGs(エズ・ディー・ジーズ)の未来都市」に認定されていることもあり、協会ではコーヒーやお茶の出がらしやバースデーキャンドルなど、これまでゴミとして捨てられていたものをキャンドルにいかす活動も展開。これが認められ「とよなかSDGsパートナー」に登録されている。
■誰でも参加できるキャンドル作りが大好評!
協会では障害者はもちろん、一般の人を対象にしたキャンドル作りを学べる1日体験や様々な講座を用意。1日でキャンドルアーティストになることもできるという。
「マンツーマンから少人数制レッスンでしっかり学べ、1デー講座や各種講座をご利用いただけます。各地域へ出張でのインストラクターコースも行っていて、アフターフォローやバックアップもサポートさせていただきます」
ちなみに、1日体験コース(1100円~)やインストラクターコース(9900円~※年会費なし)など、手軽に受けられるコースがいろいろあり、これまでに多くの人が参加している。
ところで、ここではキャンドル作りの材料にもこだわりがあって、安全性にも配慮。ワックスは国産のパラフィンワックスと植物由来のソイワックス、自然由来の蜜ロウを使用。また、キャンドル芯は綿100%や木芯を使い、香りの原料もキャンドル専用のアロマオイルを使用している。
ここに来て、緊急事態宣言が解除されたことでイベントや展示会も少しずつ復活。8月19日には豊中市千里文化センターで「夏休み創作体験 世界に一つのキャンドル作り」を開催するなどスケジュールもうまりつつある。
「コロナ時代だからこそ、心を癒し、暮らしを豊かにするキャンドル作りにチャレンジしてほしい」と角尾さん。この夏は手作りのキャンドルに癒されるのもいいですね。
(まいどなニュース特約・八木 純子)