実家の庭で野良猫が産んだ子猫を保護 親子で姿を消したが、二度の台風を乗り越えて再会
■実家の庭で野良猫が子猫を産んだ
シンバくん(1歳10カ月・オス)は、民家に住み着いた野良猫が産んだ子猫だった。2019年8月中旬、千葉県に住む佐藤さんは、母親から「庭で野良猫が子猫を産んだ」と聞いた。「どんな子猫だろう」と興味本位で実家に見に行くと、木陰で母猫のお腹にもたれて子猫がすやすや寝ていた。その子猫がシンバくんだった。
佐藤さんは、その少し前にSNSで「親猫が育児放棄をして、公園に子猫が捨てられている。誰が引き取ってくれる人はいませんか」と言う投稿を目にした。
「胸が痛くなりながらも何もできないでいました。実家で子猫のシンバを見た時、この子を引き取るのは自分の使命なのではないかと思い、猫を飼ったことはなかったのですが、引き取ることにしたのです。妻が以前から猫や犬のいる生活に憧れていたので、いつかその夢を叶えてあげたいと強く思っていたということもありました」
■「帰りたい、不安だ~」と鳴いていた子猫
佐藤さんはシンバくんを迎えるつもりでいたが、なぜか親子猫は姿を消してしまった。2019年9月、千葉県を大きな台風が二度も襲った。倒木や浸水、停電に見舞われ、ひどい状態だった。佐藤さんは、「親子は死んでしまったのではないか、もう会えないかもしれない」と思ったが、10月中旬、ふと2匹が姿を現した。
「2度の台風を乗り越えたたくましい猫との再会は、運命のように思えました」
佐藤さんは、実家からキャリーバッグに入れてシンバくんを連れて帰った。シンバくんは、帰路、ずっと鳴き続けていたので、佐藤さんは罪悪感に駆られたという。
「母猫のもとへ返すべきかとても悩ました。家に入れた瞬間、暴れたり逃げ出したりするのではないかと心配になりましたが、意外にくつろいでいたのでそのギャップにやられました。ギャップ萌えってやつですね!」
母猫と戯れる姿を見た時、「この前見た映画、ライオンキングのシンバのようだ」と思い、「シンバ」と名付けた。あまりにもそっくりだったので、佐藤さんは、初対面の瞬間から「シンバ!」と何度も呼んだ。
■夫婦の会話はシンバくんのことばかり
佐藤さんにとって、シンバくんは我が子同然。夫婦の会話はシンバくんのことばかりなんだという。
「仕事から帰宅すると『シンバ、今日何していた?』と聞くのが毎日の日課です。シンバはどんな時でも穏やかで優しく、時に度が過ぎるほど甘えてきますが、人から好かれる術を知り尽くしているようです。落ち込んでいる時も、そっと寄り添ってくれるだけで安らげます」
後に佐藤さんはルナちゃんという保護猫も迎えるが、2匹はまるで本当の兄妹のよう。時折、ニャニャと猫語で話している。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)