甲子園18度出場の名将も愛した味 球場の験担ぎグルメ「玉子ごはん」が話題

 海峡の街として知られる兵庫県明石市の「明石トーカロ球場」に野球の試合日にだけ販売される名物メニューがあります。験担ぎのため試合前には必ず食べるという監督や選手の家族もいるほど。地元・神戸新聞の記者やカメラマンに聞くと「明石球場へ行くときの楽しみ」「明石球場といえばこれ」「クセになる味」。「久しぶりに食べたなってきたなあ」と遠い目をするベテラン記者もいました。愛される味の秘密に迫ります。

 同球場は1931(昭和6)年、東京・神宮球場をモデルに開場した歴史ある球場です。昭和20年代から40年代には、プロ野球の巨人や大洋、中日のキャンプ地としても利用され、野球選手時代のジャイアント馬場さんが長嶋茂雄さんとキャッチボールをしたエピソードも残っています。

■意外や意外、手掛けるのは和菓子メーカー

 JR明石駅を降り数分歩くと場内アナウンスが風に乗って聞こえてきました。球場の外周沿いに売店ののぼりがはためいています。近づくとありました。「球場名物 玉子ごはん」(税込550円)。自家製煮豚とネギをふわとろの卵でとじた丼です。

 手掛けるのは和菓子メーカー明植堂(本社、兵庫県明石市)。同社中田知子さんによると、「明石名物のお出汁で食べる明石焼(玉子焼)のとろっとした卵の雰囲気をイメージし、20年ほど前からメニューに加えました」。シンプルな具材も明石焼をなぞらえたもの。「タコは好き嫌いがあるので自家製煮豚を使っています。あとは卵とネギだけ。傷みやすいお出汁のかわりにお醤油で味付けしました」。汗をかきながらの球場メシにはちょうどいい塩加減です。

■甲子園春夏通算18度出場の名将も愛した味

 多い日には1日50食以上は売れる看板メニュー。試合の験担ぎとして必ず食べるという関係者も多いそう。「報徳の監督だった永田さん(現、日大三島監督)は球場に入られると必ず『のけといてなー』とキープされました」と中田さんは懐かしそうに振り返ります。

 球児たちの夢を後押しするため、影での苦労も惜しみません。「在庫が少なくなると本店の調理場と球場をピストン輸送しています」。

 明石名物のタコが入った「たこおこわ」(税込550円)や勝利の勝の字が大きく焼印された「勝(かち)どら」(税込200円)も人気。「たこおこわや勝どらを験担ぎで召し上がる方もいらっしゃいます」。

 たこおこわは土日限定で桜町本店(明石市桜町)とピオレ明石店(JR明石駅隣接)でも販売。玉子ごはんは要望があれば、桜町本店2階喫茶部でも提供可能だそうです。いずれも数量限定。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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