「雑巾が落ちてる…。えっ、猫!?」真夏の炎天下の駐車場に倒れていた子猫、強い生命力で家族の中心に
■雑巾だと思ったら子猫だった
京太くん(8歳・オス)は、2013年7月27日、アパートの駐車場の片隅に倒れていた。アパートに住む夫婦は車から降りた時、アスファルトの上に雑巾が落ちていると思ったが、近づいたら動いたので驚いて保護したという。
塀の向こうの空き家で野良猫が子猫を産んだようで、数日前から子猫の鳴き声が聞こえていたが、母猫や他の子猫は姿を見せなかった。京太くんは、飾りブロック(隙間があるブロック)の隙間から母猫を探して這い出てきたようだった。灼熱のアスファルトの上で倒れていたので、夫婦は急いで京太くんを動物病院に連れていき、処置してもらった。しかし、アパートでは猫を飼えないので、その日のうちに実家にいた妹の金子さんに京太くんを預けたという。
■情がうつって
同日昼すぎ、栃木県に住む金子さんは、「京太くんを保護した」と姉から話を聞いた。時、先住猫が3匹いたため、元気になるまで世話をして里親を見つけようと思った。
夜、京太くんと対面した金子さん。
「生後1カ月くらい、とにかく小さくて、手のひらサイズのふわふわした毛玉でした。猫風邪をこじらせて目やにと鼻水で両目と鼻が黒いかたまりで塞がっていたのが痛々しかったです。脱水症状もあったのにモゾモゾと動こうという生命力を感じ、ああこれなら大丈夫だと思いました」
金子さんは、2年前の東日本大震災の時、無人の南相馬市で保護された猫たちを1ヶ月ほど預かった。1匹は自分の子として飼っている。京太くんも当時と同じように完全に隔離できる部屋を用意して預かった。先住猫に気配は伝わるものの姿は見えない状況なので、先住猫たちも落ち着いたものだった。しばらく一緒に暮らすうちに情がうつって、金子さんは京太くんを家族として迎えることにした。
保護した姉の名前から一字、先代オス猫「洗太くん」から一字もらって京太くんという名前にしたという。
■個性あふれる猫
金子さんは、生まれた頃からずっと犬や猫がいる暮らしをしてきて、たくさんの猫を飼ってきたが、「こんなに好奇心旺盛な猫は見たことがない」と言う。人の仕草はすべてじっくり観察して学習しているそうだ。
「それゆえのことなのか、驚くほど頭がいい子です。扉という扉、引き出しという引き出しはすべて開け、家具や障子ふすま網戸を破壊し、いたずらといういたずらはし尽くしてしまいました。今年8才ですが、中身は子猫のままなので、やっぱりイタズラざんまいの毎日です」
京太くんは食事に対する執着がなく、遊びに夢中。おかげで理想的な体型を維持しているという。
「特徴的なのはやはり座り方。股を開いておっさんのように座るのがデフォです。このおっさん座りのおかげで、インスタで人気者です」
金子さんは、現在猫を4匹飼っているが、毎日の行動が他の猫と違いすぎる京太くん。アクティブな変わり者で、家族を見ると駆け寄ってくる犬のような猫なので、いつも家族の話題の中心にいるのは京太くんなのだという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)