シャーッと威嚇してきた子猫、抱っこして目を細めた瞬間「ああ、うちに来るのはこの子だ」
■民家に住み着いた野良猫一家
オリーブくん(生後3カ月・オス)は、2021年5月下旬、東京都小金井市内のとある民家の庭に住み着いた野良猫一家の一員だった。家主さんは知人経由で保護団体のボランティアさんにレスキューを依頼して、6月1日午前中に子猫2匹、午後に子猫1匹、翌日さらに子猫をもう1匹保護してもらった。
子猫たちは保護されたその足で動物病院へ運ばれ、ワクチン接種、ノミダニ駆除、その他もろもろの検査を行った後、保護団体へ運ばれてきた。母猫はTNRされたという。オリーブくんは、6月1日午前中に保護された2匹のうちの1匹だった。
■もう一度子猫を育てたい
埼玉県に住む齊藤さんは、2019年12月に最初の子猫「ビア」を、2020年5月に2匹目「ピクルス」を迎えて、猫の魅力にどっぷり浸かった生活を送っていた。ビアちゃんとピクルスちゃんが少しずつ距離を縮めて仲良し姉妹のようになっていく姿が愛おしくてたまらなかった。
「そんな光景を見ているうちに、もう一度だけ子猫を育てたいと思うようになりました。そこで、ピクルス(2匹目)を譲渡してくださった保護団体の代表に、もう1匹子猫を迎えたいという意思を伝えました」
しばらくすると子猫が保護されたと連絡があり、迎え入れる準備をしていたが、ミルクボランティアが「可愛くて手放せなくなった」ということで縁が繋がらなかった。その後に連絡をもらった子もピクルスちゃんの避妊手術時期と重なってしまい、術後にあまりストレスをかけたくないと思い、諦めたという。
■うちに来るのはこの子だ
その後、縁がないまま約1年が経ったが、2021年6月1日、代表から「今朝保護された子猫たちです」と、2匹の子猫の写真が送られてきた。この時、齊藤さんは、すでに保護されていた子猫2匹のうちどちらかを迎え入れる予定だったが、そのうちの1匹の体調が悪く、お見合い待ちをしていた。とにかく、まず保護された子に会ってみようと思い、仕事を終わらせた後、保護団体へ行った。
会いに行ったその日の午前中に保護されたばかりだったせいか、子猫たちはケージの隅で不安そうな顔をしていた。近づくとシャーと威嚇してきたが、抱っこしたら大人しくなり、気持ちよさそうに目を細めた。
「その瞬間『ああ、うちに来るのはこの子だ』と感じました。完全な一目惚れでした。すでに保護されていた子は人に慣れていたので、すぐに『ずっとのおうち』が見つかるだろうと思い、可愛いシャーをしてくる子に決めました」
ピクルスちゃんとの縁を繋いでくれた友人が仕事帰りにも関わらず、急遽、齊藤さんと子猫を車で自宅まで送ってくれた。まさか、連絡を受けたその日に子猫が来るとは思っていなかったので、齊藤さんは慌ててすぐにケージやトイレの準備をした。その間、友人は猫たちのキャットシッターをしてくれて、本当に助かったという。
■保護猫を迎えてよかった
オリーブくんを連れてきた夜、先住のビアちゃんとピクルスちゃんはただならぬ雰囲気に驚いてシャーしまくった。今回は2匹揃ってのシャーだったので、齊藤さんもドキドキしたが、ビアちゃんは翌日には様子伺いをして、そのうち「いてもいいわよ」といった感じになった。ピクルスちゃんは2日目もオリーブくんのケージ前に行ってシャーしていたが、3日目にはケージの上にジャンプしたり、ちょっかいを出したりして、早く遊びたい!という感じだった。
「名前は、今回は初の男の子なので、今度こそお酒の名前にしようと思っていたのですが、鼻の穴がむふーんと大きくて、種を抜いたオリーブみたいに見えたので、オリーブにしました。ビア、ピクルス、オリーブと英国風パブみたいな姉妹と弟になりました(笑)」
オリーブくんはとにかく甘えん坊! 最初は近づくたびにシャーしていたのに、今ではみゃーみゃー鳴いて抱っこをせがんでくる。抱っこして撫でているといつの間にか寝てしまうが、なぜかいつも仰向けで、前足を広げて飛んで行きそうな格好だったり、フラメンコを踊っているような恰好だったり、お笑い系の素質が感じられる。
齊藤さんは、保護猫を迎えてから楽しく前向きに過ごせるようになったという。
「コロナ禍で不安な時も猫たちは強い味方で、毎日助けてもらっています。また、保護猫を通じて素敵な人たちとの出会いがあり、猫を飼い始めてから良いこと続きです(笑)。これから猫を飼いたいと思っている人達には、ぜひ保護猫を迎えることを考えてもらえたら嬉しいなと思います」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)