ひとりぼっちで毎日鳴いていた猫 相棒の子猫を迎えると、わずか1カ月で猫団子に
大阪府のリンくんは元々、2匹で飼われていた猫。人間も家に2人いました。しかし、飼い主のYさんが同棲していた彼氏と別れることになり、猫を1匹ずつ引き取ることに。リンくんは日中ひとりぼっちで過ごすことになりました。
大きな環境の変化にリンくんは戸惑い、四六時中鳴かずにはおられなくなりました。分離不安です。Yさんが帰ってきても鳴いて、仕事に行くときは後追いをして鳴いて…。Yさんもリンくんもほとほと困り果てていました。
リンくんの寂しさを紛らわすために、もう1匹猫を飼おう。Yさんは里親募集の掲示板等で猫を探すようになりました。そんな折、大阪市内にある保護猫カフェ「ねこの木」のTwitterが目に入ったのです。
「やられました…」
という一文と一緒に掲載されていたのは、ぼろぼろの白茶トラの子猫の写真。どうやら店のゴミ箱に捨てられていたようなのです。出勤してきた店長の長谷川さんが見つけたとのこと。
この写真を一目見てYさんは感じたそうです。「この子はうちの子になる」。理由は分かりません。ただ強く感じたのだそう。運命を覚え、すぐ長谷川さんに連絡です。
「あの子を引き取らせてください」
長谷川さんの返事はOK。体調が安定して、一度対面をしてからの譲渡になりました。それまでは長谷川さんの自宅で過ごすことに。この子猫は、「ラテ」と名前をつけてもらいました。
保護されて1カ月ちょっと経ったころ、子猫は「ねこの木」でお披露目されました。その時、Yさんも対面です。初めて実物のラテくんと会い、運命を確信したといいます。他にも可愛い子猫はいましたが、うちの子となるのは1匹だけ。
「ラテくんを引き取ります!」
リンくんにも事情を話し、遂にラテくんが家にやってくる日が訪れました。長谷川さんがお届けをしてくれるんですよ。この時、普段はおとなしいリンくんがラテくんに「シャー!」をしたのだそう。Yさんはビックリです。もしかして、相性が悪いのかも…。心配になりました。
すると長谷川さんはリンくんとラテくんの様子を見て、
「大丈夫。リンくんは優しい子だから、ラテみたいな子は好きだよ。すぐ仲良くなる」
と言ってくれました。その言葉通り、リンくんの「シャー!」はこれ一度だけ。あとは、仲良くなるばかりでした。1カ月も経つと、くっついて猫団子になっていたんですって。Yさんが感じた運命は、間違いなかったようです。
おっとりしたリンくんと、やんちゃなラテくん。2匹はとても仲良し。ラテくんが来てからは、リンくんが寂しくて鳴いてしまうことはなくなりました。めでたしめでたし。
ただし、今度はラテくんに色んな物を壊されるようになったのだそう。一難去ってまた一難。一番大きなものはテレビなんですって。ひっくり返されちゃった。まだ子猫なので、加減が分からないようです。でも今度は人間がどうにか出来ることなので、楽しく対策が取れます。
対策といえば、災害の時の対策もYさんは考えています。避難所にスムーズに行けるよう、普段からお散歩に出かけられる猫になってほしいと、リンくんとラテくんに願っているのです。なので、今年のお花見は2匹を連れていったんですって。
やんちゃなラテくんが喜ぶと思いきや、キャリーバッグの中から出てこなかったとのこと。案外内弁慶なのね。一方、リンくんは大喜びで走り回ったり虫を追いかけたり。とても楽しんだとのこと。
このようなことを繰り返して、来るべき災害に備えようと。そうやって先々のことまで考えるようになったのは、リンくんを分離不安にさせてしまった経験から。転ばぬ先の杖をいくつも持っていたい。
それ以上に、大切な2匹にもっと広い世界を見てもらいたいとYさんは考えています。この世は、美しいものであふれているのだから。
そう願うYさんは、とても美しい横顔でした。
(まいどなニュース特約・ふじかわ 陽子)