小さな世界の平穏を脅かす、あらたな“巨大猫”が出現か? 話題のジオラマ食堂に「家族」が増えました
超リアルな鉄道ジオラマの上を、わがもの顔で遊びまわる猫たちの姿が楽しめることで話題の食堂に、賑わいが増している。先に保護した母子4匹の親戚と思われる猫一族がお店にあらたに加わったのだという。オリジナルの猫グッズも開発して、ただいまネーミングを募集中だ。
■排水溝に足が挟まって動けない子猫を保護したら…
大阪市天王寺区にあるジオラマ食堂「てつどうかん」。JR環状線「寺田町」駅から徒歩5分のところにある。
店に入ってまず目に飛び込んでくるのは、オーナーの寺岡直樹さんが自ら設計・制作したという巨大な鉄道ジオラマ。田舎町を精巧に再現しており、ここで保護猫の母子が遊んでいる動画がSNSで拡散され話題となった。ジオラマを破壊しながら、線路で寝たり電車を止めたりする様子は、まるで「巨大猫」が出現したようで、怪獣映画さえもほうふつとさせる、そしてこの春、さらにお店の猫家族が増えたと聞いて訪ねてみた。
「一気に増えましたわ」と寺岡さん。
今年(2021)5月15日、お隣さんが店を訪れて「昨日からずっと、猫の声が聞こえる」という。店が入っているビルの裏にある細い路地で、子猫が排水溝のすき間に足を挟んでしまい動けなくなっていた。
「その夜から雨が降る予報が出ていました。あのまま雨に打たれつづけたら死んでしまいます」
夜の8時頃になんとか救い出したけれど、ガリガリにやせ細っていた。
「その足で病院へ連れて行きました」
さらに、ご近所の人から「ママと呼ばれているメス猫がこの界隈に住み着いて、子育てをしているようだ」という情報も寄せられた。寺岡さんは、先に保護していた母子猫のお母さん「サラ」の姉妹ではないかと直感した。
「そのまま放っておいたら、また子どもを生むかもしれません。19日にかけて順次保護して、その都度病院へ連れて行きました。毎日、猫を連れて病院通いしましたわ」
最終的に11匹を保護。幸い、みんな病気はしておらず健康だった。
この出来事をSNSで発信したところ「病院代に」とか「猫ちゃんたちのゴハンに」と、カンパしてくれる人が相次いで現れたのも、ありがたかったという。
11匹の猫一族を保護した同じ頃、近所で保護猫活動をしている人から「一時的に預かってくれませんか」と、1匹のメス猫が連れてこられた。
「一時預かりのつもりでしたけど、うちの猫たちと仲良くなってしまって(笑)。引き離すのがかわいそうになったので、店で保護することにしました」
というわけで、一気に12匹も増えたのである。
その猫ちゃんたちも、少しずつお店に慣れて、鉄道模型を走らせていないときはジオラマにあがって遊んでいる。中には元気いっぱいヤンチャな子もいれば、スタッフ以外には警戒心を解かない子など、それぞれに個性が溢れる。
■新開発したグッズのネーミングを募集中
人間のスタッフも充実して、動物看護師が4人に増えた。1人は動物病院に勤務しながらの兼業で、ほかの3人は有資格者が求人に応じてくれた。
メディアの取材依頼も、テレビの情報番組や雑誌の特集ページなどが相次いだ。6月にはNHKが、8分間の放送枠のために72時間も撮影していったという。以前から計画していた猫のための一時預かりホテルと保護猫ステーションを併設した施設の準備も着々と進んでいて、クラウドファンディングで資金を募って専用スペースを逐次広げる計画だ。8月にプレオープン、9月に正式オープンを目指している。
そんな中、ジオラマ食堂「てつどうかん」では、猫用のクライミングウォールを制作して商品化。8月からの発売を予定している。
「肉球型のホールドは、うちが独自につくりました。このクライミングウォールのネーミングを募集しています。採用した方には、オリジナルの猫グッズをプレゼントします。7月いっぱい受け付けます」
この猫用クライミングウォールは全長180センチ。頑丈な構造で、ネコちゃんたちが乗って暴れても大丈夫。お値段は6万2000円とのこと。
(まいどなニュース特約・平藤 清刀)