“ホテル”に長期滞在する猫 抜群のかわいさにスタッフも癒される毎日
今日は、年に数回、長期のお泊まりに来る百合華ちゃん(6歳・女の子)をご紹介します。百合華ちゃんは、飼い主さんのご都合により、1~2カ月という長い間、私たちと一緒に生活しています。
もともと百合華ちゃんは、子猫の時に、当院での里親探しで今の飼い主さん一家に巡り合いました。お母さんがとても大切に育ててくださったのですが、数年前にお母さんは亡くなられました。
お母さんと一緒に爪切りに来ると、待合室にいる他の飼い主さんたちからも、百合華ちゃんの抜群のかわいさに注目が集まり、百合華ちゃんはキョトンとしていても、お母さんは本当にうれしそうで、そのお顔は今も忘れることができません。優しいお母さんがいなくなって、百合華ちゃんもさみしかったことでしょうが、今は息子さんと幸せな日々を送っています。
さて、百合華ちゃんの病院でのホテル生活はというと、のんびりマイペースな毎日です。午前中は、タオルに潜って過ごすのが好きで、朝ごはんもタオルに潜ったまま食べます。
食後は、タオルからお顔をちょこっと出して、私たちスタッフの様子を見たり、お昼寝をしたり、時には診察室でスタッフと遊んだりして過ごし、夕方のごはんの時間が近づくと、タオルから出てきて、お座りの姿勢でごはんを待ちます。
タオルに潜るのが好きな百合華ちゃんですが、タオルがないと、いつものおとなしくのんびりしている百合華ちゃんとは打って変わって、横になってケージの扉に手をかけ、まるで「タオル、早く持ってきて~」と言わんばかりにガチャガチャガチャと、騒がしく音を立てるのです。そしてタオルをかけてあげると、満足そうに、タオルから少しだけ顔を出していつもの表情に戻ります。
こんなかわいい百合華ちゃんとの生活に、忙しく動き回っているスタッフも癒やされる毎日です。百合華ちゃん、そろそろタオルから出てくる時間かな。もうすぐごはんの時間です。
◆小林由美子(こばやし・ゆみこ)獣医師。1990年開業の埼玉県ふじみ野市「こばやし動物病院」院長。米国で動物の東洋医学、自然療法を学ぶ。治療はもちろん予防やしつけなどにも造詣が深く、講演活動も行う。ペットと飼い主双方に寄り添う診療が信頼を得ている。
(まいどなニュース/デイリースポーツ)