猫が線路に立ち入り列車が運休→復旧のメド立たず!?「にゃんて客だ」「癒されます」話題の「空知鉃道」とは?

「本日9:45から『線路内立ち入り』のため列車運行を全て見合わせております。復旧の目処はたっておりません。」

線路内に猫ちゃんが立ち入ったため、列車の運行を見合わせたという、とある鉄道のツイートが話題を集めました。投稿された写真には、ちょうど列車の日陰になっている線路の真ん中に横たわる猫ちゃんの姿が・・・そんなかわいい“お客さま”に「にゃんて客だ……」「可愛い線路立ち入りですね」「猫ちゃんなら仕方ない」「癒されます」などと、たくさんのコメントが寄せられています。

投稿したのは、北海道岩見沢市(空知地域)にある庭園鉄道「空知(そらち)鉃道」の金森さん。何と、趣味が高じて自宅敷地内に作ったという「空知鉃道」なんですが、夏になると暑さしのぎに猫ちゃんたちがやって来るとか。とはいえ、線路に入られては列車が動きません。この日は、無事に運行できたのでしょうか? 金森さんにお伺いしてみました。

■北海道・岩見沢市、7月で30度超・・・猫が日陰を求めてやって来た

--話題になった17日のツイートですが、猫ちゃんの「線路内立ち入り」で9時45分から運休されたとのことでした。

金森さん「はい。17日にお客さんがいらしても猫がいるため、駅の見学も対応できない旨を念のため、周知する目的でツイートしました」

--なるほど。お客さんに運休を知らせるためのツイートだったのですね。運行はどうなりましたか?

金森さん「線路やホームに猫たちが立ち入り、15時ごろに終日運休を決めました」

--あらら。この日は30度を超えていたようですが・・・。

金森さん「岩見沢は31度、車庫内は40度を超えていました。暑さで子猫がバテていたため、冷たい水を入れたバケツを駅ホームに配備しました。ただ、バケツを持って近付いたら子猫はビックリして逃げて、母猫にシャーされましたが。しばらくして飲んでくれました」

■昨年から野良猫が頻繁に来るように 夏場の子育て時期は運休が多い

--親子で現れたんですね。今回のように親子の猫ちゃんたちがやって来て、運休になることは多いのですか?

金森さん「そうですね。昨年から野良猫が頻繁に来るようになり、車両下や線路を占拠するようになりました。特に夏場の子育て時期には突如運休になることが多く、日陰で涼しいところがあるからでしょう。無理に移動させるのはかわいそうだし、猫パンチされて怪我をするおそれもあるのでしません」

--鉄道にやって来るなじみの猫ちゃんたちは何匹くらいいますか?

金森さん「全ては把握していません。防犯カメラに写った猫は大人猫が5匹くらい、子猫が4匹ほどです。近所で“母さん猫”と呼ばれている大人猫は常連で、昨年から駅に子猫を連れてくるようになりました」

--やはり、常連の猫ちゃんもいるのですね。

金森さん「はい。ですので、夏場の子育て時期は、突如運休となる場合がございます。お客さまにはご理解とご協力をお願いしています」

「空知鉄道」では、突然の“お客さま”にも丁寧な対応を心掛けているそうです。

   ◇   ◇

■趣味が高じて自宅敷地内に線路を敷設 鉄道会社の運転士や車掌らも見学に

もともと鉄道関係の仕事をしているという金森さん。「空知鉃道」を始めたのは、「自分の好きな仕様の車両を安全かつ自由に運転したかった」ことがきっかけ。2013年から自宅敷地内に線路を敷設し始めたといいます。

現在の路線は北村駅から赤川駅間43メートル。趣味で走らせている鉄道のため、月に2日ほどの不定期運行とのこと。運行した日の1日の輸送実績は平均10往復、見学者は5、6人ほどだとか。電車は2両編成で、幅70センチ高さ1.2メートル長さは3メートル弱。運転士含め大人4名まで乗れるそうです。車両台車は鋼鉄製で設計図を持ち込んで鉄工所に外注。さらに、車体は木製でホームセンターに売っている材料で自作したといいます。

「空知鉃道」には、これまで一般の方から鉄道好きな方、本職の鉄道員まで、大人から子どもまで幅広いお客さんがいらっしゃったとのこと。本州からわざわざ見に来る人も。また、有名な鉄道会社の運転士、車掌、駅員、技術員も足を運ぶほど、鉄道業界でも注目度の高い鉄道です。

■新駅を作り延伸工事中 金森さん「来た人たちが喜んでくれたらうれしい」

現在、新たに南赤川駅を作って延伸工事(区間約40メートル)を行っているという金森さん。「空知鉃道」への思いや今後の目標などをこう語ってくれました。

「業者に頼まず自分で建設しています。路線計画→測量→砂利運搬→レール敷設と一連の作業をほぼ1人で仕事の休みの日に実施。駅間には電話線と送電線を敷設したり、駅舎を作ったり、書類作成・チラシやグッズ制作といった事務作業など、やることはいっぱいあります。それらを完成させて安全に電車を走らせて、来た人たちが喜んでくれたらとてもうれしいです。今後も、ひたすらにこの鉄道を発展させることに取り組んでいきます」

そして、鉄道にやって来る猫ちゃんたちについては・・・

「野良猫を人間が面倒を見ることに否定的な意見もありますが、この農村地帯は野良猫がいないとネズミが増えるんです。以前、野良猫がいなくなったときにいろんな家でネズミ被害が出ました。我が家も家中かじられました。そのため野良猫には地域の安全安心を守る大事な役割があります。だからこそ、野良猫たちとはある一定の距離を保って接しているんです。かわいがりたい気持ちはありますが、遠くから見守るのがちょうどいいと思っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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