地域猫のたまり場でいじめられていた猫 タイガースファンに引き取られ「トラキチ」と命名、夫婦のかすがいに
■地域猫のたまり場に現れた見知らぬ猫
トラキチくん(1歳・オス)は、大阪府貝塚市の地域猫のたまり場に突然現れた。何日も何も食べていなかったようで、ガリガリにやせ細っていたという。その地域には熱心に活動しているボランティアがいるため、猫を捨てに来る人もいるそうだ。トラキチくんは、ベンガル猫だったので、おそらく以前は誰かが飼っていたと考えられている。1カ月ほど餌やりボランティアがごはんを用意すると食べに来ていたが、TNRすることになり去勢した。
去勢手術後、ボランティア宅で静養していたが、他の猫にいじめられていたため、リリースせずに里親を探すことになったという。2020年8月のことだった。
■「僕、ちゃんとトイレもできるよ」
大阪府に住むNさんは、もともと犬か猫を飼おうと思い、引っ越しをしてペットを飼える物件で暮らしていた。なかなかいい出会いに恵まれなかったが、引っ越してから1年後、譲渡サイトでトラキチくんを見つけたという。
9月13日、トラキチくんに会いに行ったが、まったく嫌がらずに抱っこをさせてくれて、目の前でトイレをした。
まるで「僕、ちゃんとトイレもできるよ」とアピールされたような気がしたという。子猫から飼うことを希望していたNさんは「でかい…」と思ったが、夫は「ベンガル!カッコいい!」と即決。1週間後、トライアルをスタートした。
トラキチくんはとても人馴れしていて、最初はソファーの下で警戒していたが、1時間後にはNさん夫妻と一緒にテレビを見ていたという。
■夫婦円満の秘けつはトラキチくん
9月20日、トライアルを経て正式譲渡となったトラキチくん。
夫は阪神タイガースのファンなので、どの猫種であってもタイガースにちなんだ名前にしたいと言っていた。Nさんもトラキチくんの虎柄を見て、「トラキチ」しか思いつかなかったという。猫は2音までの名前の方が認識しやすいという情報もあり、「トラ!」と省略しても可愛い響きの名前だったことも決め手になった。
トラキチくんは穏やかで賢い猫だが、時々アグレッシブになる。全身をグルーミングしたり、高い物の上に乗ったりするのが好きだ。
トラキチくんと暮らしてNさんは、トラキチくんを迎える前の生活を思い出せないくらいトラキチくん中心の生活になったという。
「家具の配置や新しく買うものも、トラキチにとって問題がないものを選びます」
トラキチくんを迎える前は、コロナ禍真っ只中だったこともあり、慣れない在宅ワークのストレスからか夫婦は衝突することが増えていた。
「でも、トラキチを迎えてからお互いのストレスが和らぎ、些細なケンカがとても少なくなりました。今では2人の会話の半分以上はトラキチのことです。仕事もトラキチがいるからこれまで以上に頑張れる部分もあり、トラキチをお迎えしていいことしか思い浮かびません」
Nさんは、これからもトラキチくんを大切していくことはもちろん、SNS等を通して保護猫や地域猫に対する理解を少しでも広めていきたいと考えているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)