「今年こそ届くはず」8年前に注文した幻のコロッケを待ち続ける人 今や21年待ちの超プレミア
「7年半待ちのコロッケ注文したので届くまで7年半待つ」(2013年9月8日)
「2年前に注文したコロッケはあと6年後に届くらしい 楽しみ」(2015年9月3日)
「4年前に注文したコロッケがあと4年後に届く」(2017年2月24日)
約8年前に注文したコロッケの到着を楽しみに待ち続けている人の投稿がTwitterで注目を集めている。そのコロッケとは、最高級の神戸ビーフと甘みの強いジャガイモで作った「極み」。兵庫県高砂市にある精肉販売店「旭屋」によるウェブ注文限定の商品で、なんと、現在の待ち時間は「約21年」とアナウンスされている常軌を逸した幻のコロッケである。
■今年こそ届くのか!?
まずは、自称「みんなが思ってる以上の熱量でずっとコロッケを待ってる女」こと投稿主の林野さん(@hayasino)に話を聞いた。
--このコロッケを知ったきっかけは?
「テレビか何かで取り上げられていたらしく、それを見た人から聞いて知りました。その時点で確か7年半待ちだったと思います」
--現状まだ届いていないわけですが、どんなコロッケだと思いますか?
「とりあえず人生のコロッケランキングの堂々1位になってくれることを期待してます」
--待っている間、どんなことを考えているのですか?
「最初に頼んだ頃は上京したばかりでお金がなかったので、7年かけてコロッケ代貯めなきゃな……と思いながら毎日過ごしてました(笑)。最近は届いたコロッケを誰にお裾分けするかで悩んでいます……。皮算用ですが……」
--食べてもいないのに、何度か追加注文もされていますね。
「このコロッケを定期的に食べている人がいて、話を聞くと届く前から定期的に頼む!という話を聞いて『なるほど!!!』となり、ふと思い出した時に追加注文しています。普通に待つだけじゃ長すぎるので、生きてるだけでたまに美味しいコロッケが届く!!ラッキー!!みたいな心境で申し込んでいます」
林野さんは「今年こそ届くはずなんだ……」と胸を高鳴らせているが、はてさて。
「本来届いているはずの私のコロッケはジャガイモの不作によって発送が遅れててまだ届いていないのだった」(2021年5月25日)
■幻のコロッケ「極み」とは?製造会社に聞いた
さあ、そして件の「極み」である。
一頭買いの神戸ビーフを扱う旭屋が「手頃な価格で神戸ビーフを楽しんでもらおう」と開発し、2001年頃からネット通販を始めた。肉はサイコロ状にカットしたA5等級3歳雌牛のロースやカルビ、ジャガイモは地元で育てた甘みの強い品種を使っているのが特長だ。
そもそもお試し商品的な位置づけだった「極み」は、作れば作るだけ赤字になるため、1日の製造量を制限していた。ところが2003年に地元紙の神戸新聞が取り上げたことなどで人気に火がつき、全国から注文が殺到し始める。瞬く間に「数年待ち」の状態になり、2016年には実に「13~14年待ち」に。「さすがにこれ以上はお待たせできない」と一時的に注文を打ち切らざるを得ないほどだったという。
「なんでもっと早よ作らんの」「スタッフを増やせば」などの熱い激励(?)に押されて販売を再開した現在、待ち時間、否、待ち歳月は約21年。しかも今回、林野さんの投稿が大反響を呼んだことで、一夜にしてさらに爆発的な注文が舞い込んだといい、到着は今後また延びるかもしれない。
旭屋の新田滋代表は「僕は今57歳なので、20年後にもちゃんとお届けできるように長生きしないと」と笑う。林野さんの投稿もスタッフと確認したそうで、「ありがたいお客さんやな、と話していたんですよ」と教えてくれた。
「極み」は5個入り2700円(税込み)。作りたてを急速冷凍して発送する。支払いは代引のみで、原価の高騰などによって価格や送料が変更になる可能性もある。20年以上待つ覚悟がある人はどうぞ。ちなみに林野さんはこんなことを言っています。
「20年"""待つ"""って考えると無理だが?ってなるけど20年後にもらえる人生通算ログインボーナスを設定するって考えたら何とかなりそうな気がしませんか?!???生きるぞ!!!!!!!!!!!!!!」
(まいどなニュース・黒川 裕生)