やはり関東平野は海だった! 海面が10m上昇すると、海に沈む地域はどこ?

あなたが感じるのは歴史ロマン?それとも危機感?

国土地理院地図で「貝塚」と地名検索し、標高10m未満を黒くした図がSNS上で大きな注目を集めている。

これを作図したのは代々木ゼミナール地理講師でコラムニストの宮路秀作さん(@miyajiman0621)。

関東各地の「貝塚」を結んだ線と標高10m未満の線はほぼ一致する。つまり、貝塚が成立した古代にはその周辺は海に面していたということだ。宮路さんの図に対し、SNSユーザー達からは

「北極や南極の氷が溶けて海面が10m上昇すると海に沈む地域

このまま年平均気温が上がり続けると100~200年後が危険

東京は名前の通り山の手が残り下町が沈む」

「関東地方は海面が低下していると同時に、地震による地殻変動で隆起しています。それが現れていますね。と同時に利根川と荒川による堆積と江戸時代以降の干拓があります。」

「これだから国土地理院のマップは面白い!地図は最強の暇潰しアイテム!」

などさまざまな方面からの感想のコメントが寄せられている。

宮路さんにお話をうかがってみた。

中将:今回のテーマで作図されようと思ったきっかけをお聞かせください。

宮路:平日21時に「#一日一地形」と題して、日本や世界の地形を紹介するツイートを配信していて、その一環で何か面白い地形はないかなと考えたおり、「海水準が10m上がったらどこが海岸線になるだろうか?」とふと思いつき、まずは「標高10m未満を黒くする」設定をしてみました。

そして、かつて地球が現在よりも暖かった時代の海岸線は内陸に位置していたこと、その海岸線に沿って貝塚が形成されていたことを表現できないものかと思い、地名の一部に「貝塚」をもつものを検索してみたところ、見事に一致したというわけです。

中将:地図ができあがった際の感想をお聞かせください。

宮路:予想通りでしたので、特に感想はありませんでしたが、ツイートすれば少しは受けが良いかなと思いました。しかし、本当は貝塚遺跡の場所とかつての海岸線を一致させるのが本質です。私以外に、実際の貝塚遺跡の場所とかつての海岸線が一致する図を作ってツイートされた方がいるようですが、考えていることは同じです。

中将:ご投稿に対し数々のコメントが寄せられています。今回のSNSの反響への感想をお聞かせください。

宮路:知識があるからこそ、「あっ、なるほど!」となるわけです。今回の私のツイートは、「いいね」を押してくださった方々の小学生時代に学んだ「貝塚」という遠い記憶に届いたということだと思います。2年前に「地図帳は捨てないで」という旨のツイートがバズったことがありましたが、今回もまたツイートを読んでくださる方の記憶にアクセスできるようなツイートだったのかなと思います。バズるというのはこうやって生まれていくのかもしれませんね。

【宮路秀作さん関連情報】

代々木ゼミナール地理講師、コラムニスト。Yahoo!ニュースのオーサー、そして日本地理学会企画専門委員会委員でもあり、日々、地理を学ぶことの面白さ、地理教育の重要性について発信している。今年6月発刊「経済は統計から学べ!」(ダイヤモンド社)が好評のため重版決定。また前作「経済は地理から学べ!」も売り伸ばして重版が決定している。世界各国の地理情報を発信するYouTubeチャンネル「みやじまんちゃんねる」も高い注目を集めている。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス