カラフル普通電車とユニーク路面電車が走る! ローカル私鉄「豊橋鉄道」に乗ってきた
思い立って豊橋に行ってみた。豊橋は仕事で行く機会も多く、馴染みが深い。行くたびに感じるのは、豊橋駅というのは三河の鉄道の要衝であるという事。JRだけでも東海道新幹線、東海道本線、秘境駅で有名な飯田線、そして同じ構内に名鉄のホームもある。
同じ改札からJRと大手私鉄どちらも乗れる駅というのは、なかなかない。歴史を紐解くと、もともと吉田駅で名鉄と飯田線で線路と駅を共用していたのを豊橋まで延伸した。その名残で未だに飯田線と名鉄は豊橋-伊奈間で線路を共用しているため、同じ構内にホームを構えている。
豊橋には私の大好きなローカル私鉄がある。豊橋鉄道だ。豊橋鉄道は普通の鉄道線と路面電車の軌道線の両方を所有する珍しいローカル私鉄(他に福井鉄道や伊予鉄などもあるが)。鉄道ファンからすれば希少価値の高いローカル鉄道と路面電車、両方見られる地元の方が羨ましい限り。
鉄道線は新豊橋から渥美半島の三河田原までの路線で、渥美線と言われている。総延長18kmを36分で結ぶ。一日の乗降客数は7500人余り。高校生や豊橋への通勤客が多く、ローカル私鉄としては経営が安定している。
この路線の鉄道ファン的な名物はカラフルトレイン。桜、つつじ、ばら、菜の花、菊、しでこぶし、椿、ひまわり、菖蒲、はまぼうの10種類。地元にちなんだ花の名前と塗色が付けられている。今回紹介するのは、田原市の天然記念物、緑の「しでこぶし号」。国鉄103系で育った私にとって、カラフルな車輌は昔を思い出してワクワクさせてくれる。
車輌は昭和42~43年製の旧東急7200系の1800系。私が生まれる前から走っている東急車輛の名車。今はここと大井川鉄道でしか走っていないレアな車輌。なぜ東急の7200系がローカル私鉄で重宝されるかというと、長さが通常の電車が20mのところを18mと短く、カーブなどの多いローカル私鉄で小回りが利くのと、ステンレス車体の為、軽くて線路や電力の負担が軽減され、しかも丈夫である事が挙げられる。
ちなみに豊橋鉄道での1800系の18は車体の長さを表している。渥美線では計30両が走っているので、まだまだ活躍する姿が見られそうだ。
そして路面電車の市内線。豊橋駅前の停留所からどこからか耳慣れた声が聞こえてくる。豊橋出身の豊橋ふるさと大使の松平健さんが市内線の案内をアナウンスしているのだ。そのアナウンスによると市内線の開業は大正14年とか。もうすぐ100年である。
路面電車が走っている街というのが私は大好きなのだが、以前、ギャンブル好きの先輩が、路面電車のある街は競輪場や競馬場がある街が多く、そこへ行くための交通手段の為に出来たと言っていた。市内線にも競輪場前という停留所があり、あながち嘘ではなさそう。
車輌は都電荒川線から来たモ3500形、名鉄岐阜市内線、揖斐線から来たモ780形、名鉄美濃町線、福井鉄道から来たモ800形など他所から来た車輌は、東京、岐阜、福井で走っていた頃の歴史を感じるし、通称「ほっトラム」、83年ぶりの自社発注車輌のT1000形低床式車輌は未来を感じる。
T1000形以外は全面広告車輌で、一時間に8本来るので、いろんな塗色の車輌が代わる代わる見られる。
夏は納涼ビール電車、冬は「おでんしゃ」なども市内線の名物企画。1時間20分かけて走ってくれるので熱いおでんを慌てて食べなくても大丈夫。
今年の4月で終了してしまったが、パトカーの塗色を模した通称「パト電」も走っていた。こういう他社が考えないようなアイデアを出してくるのも豊橋鉄道のいいところ。
豊橋に行ったら、豊橋鉄道、渥美線も市内線も乗ってみて!きっと豊橋、そして三河の魅力が分かるはず!
◆マグナム小林(まぐなむ・こばやし) 1971年千葉県千葉市に誕生。1994年8月、立川談志に入門、2000年8月上納金未納のため破門。以降、バイオリンエンターテイナーとして活動を開始。擬音ネタや東京節にあわせたなぞかけ、バイオリンとタップダンスをあわせた芸で多くの聴衆を魅了する。落語芸術協会と東京演芸協会に所属。千葉市立千葉高校時代には野球部のキャプテンを務めた。プロレスや競馬にも造詣が深い。