獣医師も診断に困惑?「でも、姫ちゃんだから…」里親希望者がドタキャンして、うちの子になった不思議ちゃん猫

姫ちゃん(12歳・メス)は、2009年9月、群馬県の民家の庭の真ん中で鳴いていた。家主のWさんは、朝、リビングのカーテンを開けたら猫が庭に座っていたので、「あんた、誰?どこから来たの?」と声をかけて近づいた。

その猫はまったく警戒もせず、当たり前のように「お腹すいた!ご飯ちょうだい!」と足元で鳴いた。さらに、「家に入れて!ご飯ちょうだい!」と、玄関に向かって歩き出し、家の中に入って行こうとしたという。

しかし、Wさん宅には先住猫がいるので、寄生虫や感染症のことを考えるとむやみに家に入れることはできなかった。

「とりあえず庭でフードを与えるとモリモリ食べて、お腹がいっぱいになったら、一人で気ままに遊び始めました。『助けてほしい』とか、『不安なんです』といった捨て猫特有の悲壮感はなく、当たり前のように庭で遊んで、お腹が空いたら、鳴いて知らました。勝手気ままな不思議ちゃんという感じでした」

■里親希望者がドタキャン、うちの子に

専門学校で教鞭をとる動物看護師でもあるWさんは、「毛が長く見た目もいいので、すぐにもらい手が決まるだろう」と保護することにした。

その後、すぐに里親候補が現れたので気楽に世話をしていたら、まさかのドタキャン。そのままWさんが飼うことになったという。マイペースで、何事にも我関せずという独特の雰囲気がお姫様キャラということで

「姫ちゃん」と命名した。

姫ちゃんは、2カ月前に保護して家族になったミントちゃんにシャーシャー威嚇されても我関せず。一人で楽しく遊び、一人で寝た。甘えたい時は勝手にやって来て、気が済んだらどこかへ行く。家に入れた瞬間から、すべてが当然のように過ごしていた。

「とにかくマイペースで、今まで多くの猫を見てきたけれど、初めて見るタイプの猫でした。『だって、それは姫ちゃんだから…』としか言いようのない不思議エピソードをたくさん巻き起こしました」

■不思議キャラ姫ちゃん

姫ちゃんは、鼻水を垂れるのではなく、鼻くそが出ていることもある。鼻の穴からチラリと見えているのではなく、ガッツリはみ出している。鼻息に合わせて穴から出たり入ったり、『鼻くそターザン』になっていてもいっさい気にしない。普通、鼻やヒゲ周辺は敏感なところなのに、大きな鼻くそがついていてもいっさい気にしない。それ以来姫ちゃんの鼻くそは「姫クソ」と呼ばれ、見るとラッキーということになった。

空間認知力が乏しいらしく、自分の排泄物を埋める気満々で一生懸命砂を掻くが、かけらも埋まらない。毛の長い自分の尻尾を自分で踏んで立ち上がれなくなったり、避妊手術しているのに「乳腺過多」で二回も手術したり、室内飼育なのに姫ちゃんにだけノミが一匹ついていたりしたこともある。

「姫には説明のつかないエピソードが多く、獣医師も診断に困るとボソッと『だって、姫ちゃんだから…』と言うほどです」

今まで見たことのない独特なキャラで、「姫ちゃんだから…」な不思議で笑えるエピソードも多く、ネタに事欠かないという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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