ひょっこり庭に現れた子猫、野良のままでは生きていけないと保護 おっとりおおらかで癒される

■庭に現れた野良の子猫

うにちゃんは、2012年12月末、神奈川県に住む中村さんが実家で暮らしていた時、庭にひょっこり現れ、それからよく遊びに来るようになった。女の子で、生後半年くらいになっていたので、「このままだと妊娠してしまう」と思い、中村さんはTNRしようと捕獲した。

翌年2月に不妊手術をしたが、真冬だったことに加え、野良猫とは思えぬ危機管理能力、緊張感の無さ、そしておっとりぽってりしたその可愛らしさに中村さんはリリースすることができずにいた。数カ月後には結婚し、先住猫のうぅちゃんとごにゃちゃんを連れて実家を離れるタイミングだったので、両親がさみしがるかなと思い、実家の猫として迎えることにしたという。

■幸福感漂う野良猫

うにちゃんは、野良猫のわりには福々としていて悲壮感のかけらもなく、縁側でころ~ん のびび~んとする様子からは、野良界の厳しさはまるで感じられなかった。

「ただただかわいい、ぽよよんとした幸福感を漂わせている子でした。でも人に慣れているわけではなく、少しは警戒心もありました。年中うちの庭に来ていて、ごはんもよく食べるし、体の汚れ具合などから、飼い猫ではなく野良猫ではないかと思い、保護に踏み切りました」

野良時代、母猫と思われる猫と一緒に遊びに来ていたので、とりあえず2匹に何か名前を付けようと考えたのだが、中村さんはたまたまお寿司屋さんにいたので、体の色味などからなんとなく「うにちゃん」と「いくらちゃん」にしたそうだ。

■すぐに慣れた家での生活

家での生活には比較的すぐに慣れた。いつも庭で一緒に遊んでいた同世代の飼い猫もよく家に遊びに来て、いつも通り遊べたからかもしれない。

「子猫でしたし、最初は一緒に寝たがったのですが、私のベッドで一緒に寝ていたごにゃちゃんが嫌がったので、かわいそうでしたがうにを入れてあげることができませんでした。夜は一人で寝てもらっていました。その癖がついているのか、ごにゃちゃん亡き今、一緒に寝てほしくても全然一緒に寝てくれません。自立心が根付いてしまったようです」

初めの頃はなかなかトイレを使ってくれず、ソファにおしっこをしてしまった。

「当時はおからの猫砂を使っていたのですが、美味しいのかぽりぽり食べてしまったんです。その頃どんなおもちゃよりも紙を丸めたものや紙袋が大好きだったので、『もしかしたら?』と思って砂を紙砂に変えたところ、ちゃんとトイレでしてくれるようになりました」

■平和の象徴

とにかくおっとり、のんびりしていて、天然系のうにちゃん。食べるのと寝るのが大好きだ。

「ぽってりした身体とふわっふわな毛、ぽわわ~んとした空気感にみんな心底癒されています」

大きな身体の割に気が弱く、いつもおどおどしている姿が逆に癇に障るのか、後から来た茶目子にはよくいじめられていて、先住猫で小さな千葉ちゃんにもいつも強く出られて遠慮しがち。それでも少し経つと何事もなかったように茶目子と並んで寝転がるうにちゃんの鈍感力に、人間は助けられているという。うにちゃんは平和の象徴だ。それでも、たまに狂ったようにドタバタと一人で走り回って周りを引かせる一面もあるという。

「うにを見ていると、あらゆる悩みがすぅーっと溶けていくような、そんな感覚を覚えます。誰もがつい微笑んでしまう癒しの天才。どこかの戦場で、『大画面でうにちゃんの姿を流したい』と本気で思ってしまうほど、戦意を喪失させる威力を持っていると思います」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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