保護しようと思っていた子猫が車にはねられ死ぬ 数日後見つけた兄弟猫は先住猫を見た途端、飛び付いて喜んだ

■車にはねられ亡くなった子猫

ぐりちゃん(9歳・オス)は、ラーメン屋のバックヤードにいたところを群馬県に住むWさんに保護された。

2012年8月、夜になるとどこからともなく子猫の声がするようになり、Wさんは気にかけていた。声はするが、姿は見えず。4匹の飼い猫も落ち着かなくなったので、餌付けして捕獲することにしたという。

子猫は昼間は鳴かず、夜になるとえさを食べて姿を消した。そんな日が何日か続いた後、やっと姿を見せたのは、生後3か月くらいの黒い子猫だった。Wさんは、もう少し慣れたら捕獲しようと思ったが、翌日、自宅前で車にはねられたらしく、子猫は死んでいた。Wさんは助けられなかったことを悔やみながら、亡骸を庭の片隅に埋めた。

■兄弟猫発見

数日後、Wさんは、亡くなった子猫と同じサイズの子猫を自宅の裏のラーメン屋のバックヤードで発見した。使用済みおしぼりについたラーメンの匂いに誘われて食べ物を探しているようだった。すぐにフードを持って行くと、警戒しながらも空腹に負けて、子猫は用意したフードを食べ始めた。Wさんは、ほとんど食べ終わるころまで待ち、子猫が油断したところを一気にひとつかみで捕獲。そのまま連れ帰ったという。

「自宅前で亡くなっていた子猫の兄弟かもしれず、これ以上目の前で死なれるのは嫌なので保護しました。捕獲してすぐに里親探しを始めました」

自宅の前で亡くなっていた子猫の兄弟かもしれず、亡くなった子を「ぐら」、保護できた子猫を「ぐり」と名付けた。

ぐりちゃんは生後3カ月を過ぎたくらいで、社会化期の期限ギリギリ。警戒してWさんを威嚇し続けた。しかし、攻撃はせず、出されたフードも食べるので、Wさんは少しずつ慣らしていくことにした。もとの性格は穏やかなようで、だんだん家の中での暮らしにも慣れてきた。

■末っ子気質の甘えん坊

ぐりちゃんは、保護してから数日で鼻気管炎を発症し、ぐったりしてフードを食べなくなった。動物病院を受診し、薬の投与と強制給餌を開始。具合が悪いのか、抵抗することなく世話をさせてくれた。この時はまだ飼い猫たちには会わせておらず、隔離して看護したという。

ぐりちゃんは元気になって初めて先住猫のチビちゃんを見た時、ピンと立った尻尾を震わせながら、猛ダッシュでチビちゃんの顔に正面から飛び付いた!会った瞬間からチビちゃんのことが大好きで、その後もチビちゃんにくっ付いて回り、家にもスムーズに慣れたという。

Wさんは里親探しをしていたが、鼻気管炎の治療も重なってなかなか里親が見つからず、そのまま家の子にしたという。

ぐりちゃんは、保護を必要とする子猫が現れる度に子猫が家の中を探索するのを見守り、プロレスや鬼ごっこの相手をする。Wさんが飼っている4匹の猫の中ではいつも末っ子気質でチビちゃんに甘えているが、保護猫がいる間は先輩っぽくしっかりして、子猫の遊び相手をせんするそうだ。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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