猫風邪が治らぬうちに迎えた2匹の子猫 一進一退の体調に不安な日々…でも「はじめからこんなに人懐っこいなんて」
ハルちゃん(パステル三毛・生後11カ月・メス)とムギちゃん(茶トラ・生後11カ月・オス)は、野良猫が産んだ子猫だった。
長野県のとある家で、野良猫にえさを与えている人がいた。その野良猫は何度も子猫を出産した。えさを与えていた娘さんが結婚して家を出た後も母親がえさを与え続けていたが、不妊手術はしなかった。えさを与えていた娘さんが引き取った子猫もいるという。
ハルちゃん、ムギちゃんを含めて5匹の子猫を出産した時、母猫は6歳になっていた。さすがにこのままでは猫が増え続けてしまうと、えさを与えていた親子から保護団体に相談があり、2020年8月30日、母猫と子猫の保護に踏み切ったという。子猫たちは生後1カ月くらいになっていた。母猫の不妊手術代は親子が負担したという。
■猫と一緒に暮らしたい
9月1日、母猫と子猫は長野県の保護猫カフェ「ねこ処みなみ家」に預けられた。全員、ひどい猫風邪をひいていて、ハジラミの卵が毛にたくさん付いていた。
治療を受け、ムギちゃんは1週間くらい、ハルちゃんは2週間後に症状が治まった。しかし、後から来た子猫の猫風邪をうつされ、再び発症したという。
長野県に住む岡田さん夫妻は、幼い頃からずっと猫と一緒に生活してきて、猫がいる生活が自然だった。猫と一緒に暮らしたいと思い、みなみ家にいるハルちゃん、ムギちゃんに出会った。
■物おじしないハルちゃん、ついていくムギちゃん
夫婦で子猫を見に行くと、ハルちゃんは好奇心旺盛で、みんなから離れて一匹で行動できるタイプだった。兄弟の中でも一番体が小さく、猫風邪もひどかったので、岡田さんは心配したが、みんなが母猫のお乳を飲む中、ハルちゃんだけ黙々とキャットフードを食べていた。ムギちゃんはおっとりした甘えん坊だった。
10月4日、岡田さん夫妻は2匹を迎えに行った。車で片道1時間くらいの道のりだった。出発してからムギちゃんはずっと鳴いていたが、途中休憩中にキャリーケースから出すと、岡田さんのパーカーの中にすっぽり収まり、そのまま寝てしまったという。
「はじめからこんなに人懐っこいのかとびっくりしました。ハルはまったく動じることがなく、キャリーケースの中で眠っていました」
家に着くと、好奇心旺盛なハルちゃんはすぐにキャリーケースから出て、あたりを探検し、ムギちゃんもすぐに後を追った。
まだ猫風邪が治りきらないうちに迎えたので、しばらくは大変だった。毎日朝晩体温を測り、目薬をさしたり、薬を飲ませたりした。鼻水で匂いが分からないのかごはんもあまり食べず、ふやかしてみたり、別のフードを試してみたり、手を変え品を変えて食べさせた。
「まだ身体も小さく、体調も良くなったり悪くなったりで安定していなかったので、不安な日々でした」
■猫を迎えて気持ちが明るくなった
ハルちゃんは気が強いが、撫でられるのが大好き。パパ大好きな甘えん坊だという。運動神経も良く、獲物(ねこじゃらし)を捕まえるのもプロ級の腕前。食いしん坊で、頭が良く、いたずらっ子なのだという。
ムギちゃんはおっとり優しい子で、日光浴が大好き。いつも窓際に寝そべって蓄熱している。
「ムギは私の首を舐めながらフミフミするのが日課で、1時間ほど続けることもあるくらい甘えん坊です」
岡田さんは結婚して長野県に引っ越してきたので、実家もなく、旧友もおらず、コロナ禍ということもあり、気が沈むことが多かった。しかし、ハルちゃんとムギちゃんを迎えてからは、気持ちが明るく前向きになり、生き生きしてきたという。
母猫とハルちゃん、ムギちゃん以外の子猫も無事里親が決まったそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)