左利きが使ったボールペンは壊れやすいという指摘がSNS上で大きな注目を集めている。

「左利き界隈では『左利きが使ったボールペンは壊れやすい』というクソ現象が割とメジャーに起こっていることを認知してほしい

左→右に書く現代の習慣では、左手で筆記具を持つとボールを押し込む方向に使い続けることになってしまうので陥没などしてすぐインクが出なくなる」

「自分はuniの『パワータンク』という、加圧空気でボールというかインクを押し込んでくれるタイプのボールペンを使ってから回避できているので気に入っています」

と投稿したのは大学生のバンバンドリさん（@bangdream_bird）。

たしかにペン先のボールが回転することでインクが出るというボールペンの構造を考えると、左利きの人が使うと壊れやすいという理屈はよくわかる。バンバンドリさんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「紙を90度以上時計回りに回して書くと解消されますよ（＾ω＾）「左から右」は「上から下」に、「上から下」は「右から左」に変換されるので押し込む形にならないですよ。」

「左から右だとインクが出ないけど右から左だとインク出るフェーズあるよね」

「スープバーの雫型お玉アレも鬼門ですよね😢」

「もしかして万年筆がすごく掠れるのも同じような原理ですかね？」

「長年の謎が解けた」

など数々のコメントが寄せられている。バンバンドリさんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ（以下「中将」）：左利きの方にこんな不便があるとは気付きませんでした。

バンバンドリ：元ツイートでは「左から右に書く現代の習慣では…」というように書きましたが、厳密に言えば文章を書く方向というよりは文字自体の書き順に原因があります。そのため、字そのものの書き順を変えない限り、縦書きでも、昭和初期のような「右から左」方向の文章でも、ボールペンで書くとすぐ使えなくなります。

中将：バンバンドリさまが「ボールペンが壊れやすい」と気付かれたのはいつ頃からでしょうか？

バンバンドリ：中学生の時です。初めて塾に通うタイミングでボールペンを何色か買ってもらったのですが初日で全然インクが出なくなり、ショックだったのを今でも覚えています。この頃からボールペンの持ちが悪いと思っていました。これが左利きのせいというのは徐々に確信めいていき、「パワータンク」を知るまではボールペンは極力避けていました。

中将：ボールペンの使用に関して、「パワータンク」の使用以外にも工夫されていることがあればお聞かせください。

バンバンドリ：施設など共用のペンを使うときは、できるだけペンを立ててペン先を押し込まないように使っています。それでもインクが出にくいときは、無理やり右から左に横画を引くこともあります。

中将：これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。

バンバンドリ：たくさんの左利きの方から共感をいただけてうれしいような気もします。中には「左利きが原因でボールペンを壊したなんて全く思っていなかった」という人も見かけます。厳密な要因は他にもいくつかあるでしょうが、「左利きすら実感していない左利きの特性」のようなものを広く認知してもらえたのかなと思います。

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バンバンドリさんの投稿についてパワータンクを販売する三菱鉛筆株式会社のご担当者にお話をうかがってみた。

中将：パワータンクが左利きの方に愛用されているということはご存知だったでしょうか？

担当者：先日、別の媒体ですが、左利きの方にご愛用いただいている商品として掲載されたことがあり知りました。

中将：御社では特に左利きの方向けを意識した商品開発をされることはあるのでしょうか？

担当者：ゲルインクボールペン「ユニボール シグノ 307｣は、左手で書いてもかすれにくいということをうたっております。

中将：今回の話題についてご感想をお聞かせください。

担当者：当初想像していなかった商品の使い方や利点を教えていただきありがたいです。パワータンクはこれまで、「上向きに書ける」「濡れた紙に書ける」「氷点下でも書ける」ということをアピールしてきたのですが、今後は、「左利きの方にも使いやすい」ということもアピールしていこうと思います。

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左利きとボールペンの消耗の早さの関係についてはメーカーですら気が付いていなかったようだ。しかし、バンバンドリさんの指摘によりこういった問題の存在が明らかになったのは画期的。左利きの方はぜひ参考にしていただきたいと思う。

（まいどなニュース特約・中将 タカノリ）