硫酸事件で逮捕の容疑者…学生時代に後輩からタメ口で「いじられた」と逆恨みか? 小川泰平氏が推測
東京都港区の東京メトロ白金高輪駅の構内で8月24日夜に22歳の男性会社員に対して硫酸とみられる液体をかけたとして、傷害容疑で静岡市の大学生・花森弘卓容疑者(25)が28日に逃走先の沖縄県内で逮捕された。この事件を受け、元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏は30日、当サイトの取材に対し、大学の後輩だった被害者男性から学生時代に「いじられた」などと思い込み、積年の恨みをつのらせていたことが犯行の動機につながった可能性を推測した。
現場取材した小川氏によると、花森弘卓容疑者は被害者男性を尾行し、上りエスカレーターで距離を詰めて後ろに立ち、追い抜きざまに硫酸を相手の顔にかけたという。男性は顔や肩をやけどする重傷で、現場を通りかかった34歳の女性会社員が液体を踏んで転倒して足に軽傷を負った。
小川氏は「事件の1カ月前、被害者男性は都内の路上で花森容疑者と遭遇し、近況等について話したということですが、容疑者は今年4月に琉球大学を訪れ、在籍していた大学の映画サークルに立ち寄り、自分がいた当時のメンバーの名簿を調べていたという話もあります。偶然を装ったのか、男性を尾行して自宅を探そうとしている時に見つかってしまったのか、それはまだ分かりませんが、事前に出会っていたことは事実です」と解説した。
花森容疑者は犯行後、いったん静岡市内の自宅に帰り、25日に愛知・中部国際空港から飛行機で学生時代を過ごした沖縄県に移動し、男性友人宅に3泊したとみられる。28日に宜野湾市内の公園で逮捕された時には約50万円を所持していたという。小川氏は「逃走資金を持っていたとしても、友人宅に泊まるというのは解せないし、ある意味で甘いと思う」と指摘した。
捜査関係者の調べによると、花森容疑者は16年に琉球大農学部に入学し、後輩となる被害者男性とは同じ映画サークルで一緒だった。被害者男性は「数人でいた時に花森容疑者にタメ口を使ったら『自分が年上なのに、タメ口はおかしい』と怒られた」と説明しているという。
小川氏は「今回、硫酸を顔面にかけていることを考えると、言った本人に悪気はなくても、今風に言うと『いじられた』ことと受け止め、それ自体に容疑者が強い恨みを持っていた可能性はある。顔に消えない傷を付けてやろうという意識は当然あったと思います」と犯行の動機を分析した。
花森容疑者は4年生時に琉球大を中退し、昨年、静岡大農学部に編入して現在も在籍。亡くなった両親が残した静岡市内の一戸建て住宅で暮らしていたという。