「また我が家に来た時のように、奇跡を起こしたい」ひどい猫風邪から“生還した猫”を再び襲った病魔
チビちゃん(1歳・オス)は、2020年9月11日、香川県に住む西さんの家の玄関先に座って鳴いていた。西さんは、外出しようと外に出た時にチビちゃんがいるのに気が付いた。近づいても逃げないのでどうしたのかな?と抱き上げてみると、ひどい猫風邪による結膜炎で両眼ともふさがっていて、全く見えていない状態だった。鼻水やくしゃみもひどく、身体も汚れていた。
「そのままにはしておけないと思い、すぐに保護して病院へ連れて行ったのですが、見えるようになるのは難しいかもしれない、眼球が中にあるかどうかさえ分からないという診断でした」
■運命の子
西さんは、もともと大の猫好きで、結婚して家を建てたら猫と暮らすのが夢だった。チビちゃんを保護した時、すでに2匹の先住猫がいたこともあり、目が見えるようになったら里子に出そうかと夫と話していた。
「世話をするうちに、目が見えないのにうちを選んで来てくれたのかなと、何か運命的なものを感じ、チビもうちの子として迎えることしたのです。保護した時、とても小さかったのでチビという仮名をつけたのですが、愛着がわいたので改名しませんでした」
チビちゃんは、やせ細っていて小さかったが、幸い弱っている様子はなく、ひどい猫風邪をひいていたが、動きはしっかりしていて強い生命力を感じさせた。駆虫をしてもノミダニはおらず、お腹にも虫はいなかったが、先住猫が2匹いたので最初の2カ月間は隔離して世話をした。
1日6回の目薬と飲み薬で、1週間もしないうちに目はうっすらと見えるようになり、1カ月後には見た目にもキレイになった。
「今ではパッチリお目目になっています。風邪の症状も1週間ほどでなくなりました」
■再び闘病
チビちゃんはとても人懐っこく、いつもグルグルと喉を鳴らして甘えにきてくれた。目が見えるようになってからはよほどうれしかったのか常にハイパーに動き回っていた。2カ月後、再度血液検査をして病気の有無を確認し、大丈夫だということで先住猫と対面させたという。
「最初は先住猫のウーシャー祭りでどうなることやらといった感じでしたが、今では仲良しです」
とても優しく甘えん坊。おしゃべりが大好きで、名前を呼ぶと返事をしながら走ってきてくる。ビビりな性格で、インターホンがなるとクローゼットに隠れて出てこなくなる。
猫じゃらしで遊ぶのが大好きで、豪快なアクロバットを見せてくれるのだが、その投稿がTwitterで16万いいねを獲得したこともあるという。
すっかり西さん宅の元気印として生活していたが、6月の中旬に鼻が白いことに気づき、病院へ連れて行ったところ、FIP(猫伝染性腹膜炎)にかかっていると分かった。その後、治療を始めたものの思ったほどの効果が出ず、免疫介在性溶結性貧血も併発していることが分かり、現在も治療中だ。
「また我が家に来た時のように奇跡を起こしたい、そう思って頑張っています。チビが治ったら、今度は私が、同じ病気で闘っている猫ちゃんやその飼い主さんの為にできることをして恩返しをしたいと思っています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)