ヒカキン、冨永愛、渡辺直美がキラリモンスターに変身 「好きなことをしていい」子どもに伝えたい著者の思い

かつての子どもたちは「早く大人になりたい」「大人になって夢を叶えたい」と思ったものです。しかし、今の子どもたちは、将来の大人像をどんな風に見ているのでしょうか。

情報メディアの発達と合わせて「ブラック企業に勤めている」「社畜になっている」「過労死する人もいる」「芸能人の誰それさんが不倫をしていた」といったネガティブなニュースも多く出回るように、望まなくとも子どもの目にする機会があります。こういったことから「子どもたちが大人像に対し希望を失っている」といった見方もあるようです。

そんななか、子どもたちの個性を尊重させながら、「大人の楽しさ」を伝える有意義な一冊が刊行されました。『キラリモンスター ちょっと変わった偉人伝』(小川凜一著・大和書房)という本です。

本書はHIKAKINさん、冨永愛さん、渡辺直美さんほか、子どもたちにも大人気の有名人(偉人)のパーソナルをモンスター化し、そのモンスターの進化とともに今の活躍に至るまでのプロセスを解説するもの。同時に「こんな風に好きに生きても大丈夫」「こんな自分でもいいんだ」と、子どもたちが希望を持てるような構成となっており、ポップなレイアウトと合わせて楽しく読むことができます。

今回は本書の中からHIKAKINさん、冨永愛さん、渡辺直美さんを抜粋。キラリと光る各モンスターの能力や特徴と合わせてご紹介します。また、本書の著者、小川凜一さんにも話を聞いてみました。

■HIKAKINは、「一番」を目指し続けたガンガンタイプのキラリモンスター

まずYouTube界のトップクリエイター・HIKAKINさんを見てみましょう。本書の中では「ガンガンタイプ」に分類され、その能力は「改善力」にあるとされています。「自分の武器を磨くことにすべてをかけるモンスター」としての紹介もあり、実際HIKAKINさんは幼少期の頃から「一番になることが大好きで、そのための苦労を惜しまなかった」エピソードも紹介されています。

またHIKAKINさん本人からは「世界一の人を徹底的にマネすること。目標に近づいたとき、他では見えない景色が見えてくる」と子どもたちの希望を後押しするコメントもありました。これは大人であっても、参考になるものでHIKAKINさんの優しさが伝わってくるコメントだと思いました。

■冨永愛は、「男の子に生まれたかった」ガンガンタイプのキラリモンスター

続いて世界に名だたるトップモデルの冨永愛さんを見てみましょう。

HIKAKIN 同様「ガンガンタイプ」に分類される彼女ですが、幼少期は「男の子に生まれたかった」ようで、女の子っぽくふるまうのが苦手だったとか。思春期に身長が伸びた際には同級生から「デカ女」「宇宙人」とバカにされることもあったそうで、背が高い自分を嫌いになったこともあったそうです。

しかし、あるときこのスタイルを活かすためにモデルを志し、単身ニューヨークへ。10年近く自分を磨き続け、世界各地のショーにモデルとして採用されるようになった変遷が紹介されています。

冨永愛さん自身からは「心の直感は是非大事にしてください。それが周りと違っても気にしないで大丈夫」と子どもたちの自由な発想を後押しするコメントが寄せられています。

■渡辺直美は「壁に立ち向かい続けた」フワフワタイプのキラリモンスター

そして渡辺直美さんを見てみましょう。「独自の世界をどんどん広げる」というフワフワタイプに分類されており、自由奔放な彼女の幼少期から大人になるまでの変遷が紹介されています。

渡辺直美さんのお笑い界でのブレイクは「ビヨンセのモノマネ」でしたが、世の中からは「一発屋」なんて言われることもあったそうです。しかし、問題を先送りにすると、苦しさがずっと続くことから「今、立ち向かう」ことを指針に逃げずに取り組むことで、お笑い界を飛び越え、自分の世界を広げていったそうです。

そんな渡辺直美さん自身からは「大人って子どもの1000倍苦しいけど、1000倍楽しい」といった応援メッセージも寄せられ、子どもたちが希望を持てる内容となっています。

■読んだ人に「いいんだ」と安心して欲しくて編んだ一冊!

今回紹介した3名以外にも、「ビクビクタイプ」「モヤモヤタイプ」など、総勢15名のキラリモンスターが紹介されている本書。子どもはもちろん、大人が読んでも十分楽しい一冊ですが、著者の小川凜一さんに話を聞きました。

「この本を出すにあたって2つの理由がありました。

一つはシンプルに、『大人ってつらそう』というイメージが子どもたちに蔓延していたことをなんとかしたかったこと。確かにニュースやSNSの大人の声をみていると、大人の仕事とは、辛く苦しく堪えるもの……そんなイメージを子どもが抱いてもしょうがないかもしれません。

二つ目は、『人と違うことを肯定したい』という思いです。僕自身、ちょっとぼんやりした子どもだったのですが、それを学校でも家でも怒られ、友達にはいじめられ、すっかり自分のことが嫌いになった時期がありました。でも、ぼんやりしているうちは色んなことを想像していて、他人よりアイディアが浮かぶこともあり、大人になってから仕事にとても役立ちました。

僕の周りの才能を発揮している大人たちも、変わり者だからこそ、他にない個性として世の中に必要されている人たちばかりでした。『変わってるけど、すごい』という自分の力を、周りや自分自身に否定されてしまい、隠すようなことになってしまったらとてももったいないと思いました。

大人の楽しさを伝えること。そして、人と違うことをポジティブに捉えて欲しい……この2つを子どもたちに届けようと思ったとき、どんな言葉より、何よりも見せるべきは大人の姿だと思いました。

イメージしにくく、人と違うことがマイナスに受け取られやすい個性に、モンスターの姿を与え『変わっているのではなく、“レアモンスター“なんだ』と置き換えることで、変なところを肯定的に捉えて欲しいとの想いから『キラリモンスター』が生まれ、この本の形になりました。

でも、本書で伝えたいことは、『この人たちは自分の弱い部分と向き合って、成功をつかんだ。だからあなたもがんばりましょう』ということではありません。

あなたはあなたの好きなことをしていいし、自分という存在は人と比べるためではなく、ただ自分のために使っていい。僕はこの本を通して、読んだ人に『いいんだ』と安心して欲しいと思っています。様々な偉人たちは、人生順風満帆でもなければ、1から10まで尊敬できる聖人のような人たちでもありません。

失敗もするし、周りに迷惑をかけてしまった経験もあります。

それでも自分らしく生きる偉人たちを見て、『こんな風に好きに生きてもいいんだ』『こんな自分でもいいんだ』と、自分を縛るものを少し緩めて、自分の心を見つめたり、自分らしく生きようと思うきっかけに、この本を活かしてもらえれば、とても嬉しいです」(著者・小川凜一さん)

来る9月23日には、著者の小川凛一さんと、本書にも登場しているカリスマ教師の井本陽久先生による「『うちの子大丈夫?」に答える 子どもの今と未来のキャリア」というZOOMでの対談イベントも開催予定だそうです。下記をご参照いただき、本書と合わせてチェックされてみてはいかがでしょうか?

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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