母猫を探して2時間、声を枯らして鳴き続けていた子猫 保護した飼い主が孤独死→娘のもとで幸せに暮らす
■母猫を探して鳴いていた子猫
つむちゃん(6歳・オス)は、2015年10月、Kさんのお母さんに保護された。お母さんは、マンションの下の茂みから猫の鳴き声が聞こえていたが、親猫を呼んでいるのだろうと思っていた。しかし、2時間以上延々と鳴き続けていたので気になって見に行くと、すすけた子猫がいた。
「母は、これだけ鳴いても母猫が来ないのだから捨てられたのかもしれないと考え、目ヤニもひどかったので保護したそうです」
保護した直後、お母さんからつむちゃんの動画が送られてきたが、すっかり声が枯れていて、Kさんは、「真夏ではなく10月で良かった」と、安堵した。
■ペットロスのさなかの出会い
Kさんのお母さんは一人暮らし。ちょうど飼い猫を亡くしたばかりでペットロス真っ只中だった。前に飼っていたその猫は、生まれたばかりのヘソの緒がついた状態で発見、保護して育てていたが、1歳になる前から後脚が動かなくなり、横隔膜が破裂して亡くなったという。
Kさんとお母さんは「生き物を飼って育てるって一筋縄じゃいかないことが多いね」と話していたのだが、つむちゃんの可愛らしさには勝てなかった。動物病院に連れて行く前から、もう名前の話になっていた。
■野良出身だが超グルメ
先代の猫はあまり遊ばない子だったが、つむちゃんは健康体で、生後2カ月、まるでチョロQのように動き回った。
「家に慣れ始めてからはもう可愛くて仕方なかったです。野性味ゼロな寝方もするので、母も私もメロメロでした」
最初は女の子だと思ったので「つむぎ」と名付けたが、病院に行くと「男の子ですよ」と言われてびっくり!ムギくんと呼ぶより、「つむちゃん」と呼んだほうがしっくりきたので、そのまま「つむぎちゃん」という名前になったという。
「つむは、元野良猫とは思えないくらいグルメで、味の好き嫌いがハッキリしているので、ごはん探しに苦労しています。甘えたい時はじーっとこっちを見て、手の上からごはんをもらうのを待っています」
6歳になって遊びよりも人の膝の上で撫でられるほうが好きになったようで、朝起きてからの「早くココへ来て撫でろ」コールが凄いという。
■お母さんの孤独死を乗り越え
実は、Kさんのお母さんは孤独死していた。Kさんが実家へ駆けつけるまで何日かかかったので、つむちゃんはその間ひとりぼっちで壮絶な時間を過ごしたことになる。Kさんはパートナーと1匹の先住猫が暮らす東京につむちゃんを連れてきた。
「母を亡くして、さらに住む空間や一緒にいる人の顔が全部変わってしまったので、相当なストレスだったと思います。もう1匹にしない、絶対守るんだと固く心に誓った出来事でした」
パートナーの彼は6歳から飼う猫に最初はおっかなびっくりだった。しかし、お腹の上で喉を鳴らすつむちゃんに今はメロメロなんだという。
「コロナ禍、こんなに可愛い猫と一緒に暮らせることに感謝しかありません。人間だけだと毎日同じ話題が続いて飽きてしまい、鬱々としてしまいますが、猫の話は毎日しても飽きません(笑)。外出しても、早く会いたいから帰りたい!と思うようになりました」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)