1日限りの「ジパング」開催へ 世界で活躍する日本のパフォーマーが集結 有形文化財、大阪・大槻能楽堂で

 国の有形文化財でもある大槻能楽堂(大阪市)で、この10月2日に1日限りのエンターテインメントショー「ジパング」が開催される。シルク・ドゥ・ソレイユ公式登録ジャグラーやVRアート、ブレイクダンス、マジックショーなど世界を驚かせた日本のパフォーマーたちが大挙、出演。大槻能楽堂ではこのようなショーの前例がなく、大きな話題を呼んでいる。

■能楽堂を舞台に最高のパフォーマンスを届けたい!

 実は6月開催予定だったが、コロナ禍で延期になった。イベントの実行委員長で(株)ビコーデザイン代表取締役の近本美幸さんによると、一時は開催も危ぶまれたが、施設の子どもたちを招待するなど「多くの人に夢を与えたい」と開催を決めた。

 会場となる大槻能楽堂(大阪市中央区上町A7)は、大阪メトロ谷町線・中央線「谷町4丁目駅」から歩いて約5分のところにあり、1935(昭和10)年、全国初の椅子席の能楽堂として創建された。第二次世界大戦終戦当時、大阪市内唯一の能楽堂として伝統文化を支え、2014(平成26)年には「登録有形文化財(建造物)」に指定されている由緒ある建物だ。

 令和元年から改修を行い、能楽のみならず、様々な舞台芸術に対応できるようにリニューアルした。それが奇想天外なコラボに結びついており、大槻能楽堂の猪又宏治事務局長も「能舞台は神や霊が降臨する場です。そこで神技が出現する。なんて素敵なことでしょうか」と期待する。

 そんな伝統芸能の聖地とも言うべき能楽堂を舞台に世界的に活躍する日本のパフォーマーたちを集めて、前代未聞のパフォーマンスショー「ジパング」を開催したいと考えたのが代表の近本さんだ。

 「能楽堂でイベントを開催することで、能をはじめとする日本の伝統文化にも興味を持っていただける機会になれば、と考えました」

 自身、ステンレス折り紙アーティストとしても知られる近本さんは、これまで日本をはじめ、フランスやドバイで日本の若手アーティストの作品を紹介するプロデューサーとしても活躍。しかし、コロナ禍により、アート関連の仕事が大きな打撃を受けているという。

 それでも開催にこだわったのは、ともすれば、いまの時代にほんろうされ「大人も子どもも夢を失いがちになっている」と痛感したからだった。さらに、以前に施設を訪れた際に先生から聞いた「彼らに夢を持たせてあげたい、やりたいことにチャレンジしてもらいたい」との言葉が耳に残っており「何か私にできないか考えました」と言う。

 そこで思いついたのが今回のイベント。世界で活躍している日本のパフォーマーたちの神技のような凄いショーを提供することで「子どもたちに自分も頑張れば何かに挑戦できるのでは、と思ってもらうこと。これこそがこのイベントをする真の目的なのです」と力を込めた。

■世界で活躍する日本のパフォーマーたちが賛同

 コロナがなければ、海外で活躍していたはずの出演者もいる。近本さんは、そんな凄いパフォーマーたち1人1人に連絡を取り、出演交渉をして回ったという。

 「こういう時代だからこそ、子どもたちに夢を与えたいという話をしたら、みなさん、笑顔で気持ちよく、協力しますといっていただけました」

 今回、近本さんの趣旨に賛同した出演者が以下のみなさんだ。シルク・ドゥ・ソレイユ公式登録パフォーマーでジャグラーの天平さん。ブレイクダンスのアジアチャンピオンSNACK(野村直)さんに、池谷直樹さん主宰サムライ・ロック・オーケストラの川原拓也さんも参加する。

 さらに今、話題のVRアートパフォーマーのせきぐちあいみさん。女性3人による太鼓パフォーマー「和太鼓心鼓(わだいこ ここ)に、サーカス芸人の暁あんこさんも手を挙げた。中国伝統秘技の変面ショーも登場するが、出演者はシークレットだそうだ。

 そして、マジック&イリュージョンショーの峰龍&Riricoさんはダンサー、モデル、さらに俳優の経験もあるほど多才。峰龍さんはトーク力もあり、当日の司会も受け持つ。また、入場門前では日本家道山川流の総家元の遠藤祐子先生や家元たちによる華道パフォーマンスも予定しているという。

 今回の大槻能楽堂の舞台を皮切りに「ジパング」のイベントは東京でも開催予定だといい、「年に最低2回は大阪と東京で開催し、コロナが収まれば、海外公演も考えたい」と、近本さんの夢は大きく広がっていた。

(まいどなニュース特約・八木 純子)

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