キラメイジャーの好青年キャラから脱皮 俳優・水石亜飛夢が頭空っぽパリピ学生で新境地

人気特撮ドラマ『魔進戦隊キラメイジャー』の好青年ヒーローから一転、俳優の水石亜飛夢(25)が、知性ゼロのパリピ大学生役で新境地開拓だ。SNSを中心に話題となった映画『ベイビーわるきゅーれ』の若き異才・阪元裕吾監督(25)による、いまだかつてないスラッシャーホラー『黄龍の村』(9月24日公開)に主演。

これで3度のタッグとなる阪元監督について水石は「阪元監督には鬼才、異才、新進気鋭という言葉が当てはまる。常人ではないというか、こんな監督ほかにはいない」と信頼を置いている。旋風を巻き起こした『カメラを止めるな!』(2018)以来の“ネタバレ厳禁映画”ともいえる本作を観て思う。この二人、日本映画に旋風を巻き起こす名コンビになるのではないか!?と。

水石と監督の出会いは、連続ドラマ『すじぼり』。そのセンスに感激した。「初めての出会いはワンシーンのみの出演でしたが、その時の阪元監督の演出とアイデアがもの凄く面白かった。それは立ち去り際に僕が相手に対して中指を突き立てるという、脚本にはないもの。自分のキャラクターの立ち位置やシーンの状況も相まって、あまりにもイカれた発想だとビックリ。この人の演出をもっと受けてみたいと思ったんです」と尖ったセンスに脱帽した。

実は相思相愛。そのドラマ出演直後に、水石は監督から直々に主演オファーを受けた。そして渡されたプロットを読んで、底なしの発想力に驚愕。パリピと陰キャが混合した大学生8人グループが迷い込んだ村で惨殺される田舎系ホラーなのかと思いきや、中盤からアッと驚く方向へとストーリーが転がっていく。

「粗筋を読んだ段階で『えっ!?』と驚いたし、あまりにも斬新すぎてあまりにも面白い。この発想は僕にはないもの。ストーリー全体を通して、いまだかつてない映画だと思います。これが阪元裕吾の世界観なのか…と衝撃を受けました」と斬新なストーリーテリングに震えた。

■撮影スタイルは計算された無法地帯

演出術にもショック。村へと向かう車中の様子を捉えたスマホ映像で構成された冒頭シーンは、俳優自らが撮影を担った。そこで交わされる生っぽいセリフのほとんどがアドリブだ。「例えば『テラスハウス』とか、監督から与えられたお題をみんなで膨らませて、セリフとして自由に喋る。車中シーンのセリフは脚本にはないもので、フリーダム。かなりの無法地帯でした」と振り返る。

しかしその無法地帯は、計算されて作られたものでもある。「あの8人の関係性やテンションは撮影現場だけでは絶対に生まれない。撮影前にみんなで会議室に集まり、車中の状況を想定したリハーサルを行いました。監督とともに色々なアドリブを検討しながら、劇中での異常なテンションを全員で確認。みんなでキャラクターの性格や人となりを作り上げて、グループ内での関係性を掴んでいきました」と念入りな準備によってリアルなシーンがクリエイトされた。

監督の才能に惚れ込んだ水石の熱意も相当なもの。頭空っぽリア充大学生を生々しくトレースしたその姿に『魔進戦隊キラメイジャー』の面影はゼロだ。「僕がこれまでの人生で見てきた反面教師的人物の集合体といえるキャラクターかもしれない」と笑いつつ「ここまでの自由演技は初めて。役者ってどうしてもセリフやシーンに囚われがちですが、阪元監督との出会いを通して“芝居って自由でいいんだ!”という発見がありました。撮影中は思いついた楽しいことをしただけ。タイトな撮影でしたが“楽しかった!”という感情しかありません」と満足している。

リスペクトの念は深まるばかり。「撮影中に僕がわからないところがあったりすると、阪元監督は自分の頭の中にあるイメージを目の前で実践してくれる。アイデアは豊富だし、面白いことを思いつく瞬発力もあって、しかもすべて質が高い。そして程よいユーモアと遊び心も抜群。こんな作品どうして思いつくわけ!?と感心することばかりで、そんな異才と若いうちに出会えたご縁には感謝しかありません」としみじみ。

『ベイビーわるきゅーれ』では異質なキャラクターを嬉々として演じた水石。若き異才との出会いを通して飛躍する俳優は少なくない。水石もそのうちの一人となるか。

(まいどなニュース特約・石井 隼人)

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