「年収1千万円まで所得税1年間免除」 立憲・枝野案に夜回り先生が異論 「貧困層への配慮を」
立憲民主党の枝野幸男代表が26日、コロナ禍での経済対策として、年収1千万円程度までの世帯を対象にした所得税の1年間免除を掲げた。一夜明けた27日、「夜回り先生」こと教育家の水谷修氏は、この案に対して「恩恵を受けるのは中流層」とし、「そこからはじき出された貧困層」などへの配慮を求めて「枝野さん、もう少し考えて欲しい」と呼びかけた。
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立憲民主党の枝野幸男代表は、政権交代したときには、もうすぐ2年を迎えることによる、新型コロナウィルス感染拡大への国民支援対策として、年収が1千万円程度を下回る人たちの所得税を1年間ゼロとする公約を26日に発表しました。
2020年の統計では、我が国で、年収1千万円以上の所得を得ている人の割合は、4・8%ですから。全国民の95・2%が、この恩恵を獲得する素晴らしい公約だと喜んでいる人たちも多いと思います。この公約で、立憲民主党による政権交代を支えようと考えた人も少なくないと思います。特に、公務員や立憲民主党の支持母体「連合」傘下の人たちにとっては、その恩恵は大きく、所得税を払わなくていいために生じた所得が、旅行や飲食、その他の消費に回り、日本の、この新型コロナウィルス感染拡大で疲弊した経済全体を活性化させることとなるでしょう。とても、素晴らしい公約に見えます。
でも、本当にそうでしょうか。
実は、この公約には、重大な欠陥があります。古い統計ですが、2018年の「国民生活基礎調査」によると、日本の総世帯数6227万世帯のなかで、1583万世帯が、住民税非課税世帯となります。この世帯数は、新型コロナウィルス感染拡大の中で、さらに増加しているでしょう。つまり日本の25%以上の世帯は、課税対象となるだけの所得を得ていないということであり、その中には、多くの高齢者世帯、片親家庭世帯が含まれています。この公約では、もともと所得税を払っていない、これらの世帯に対して何の救済にもならないのです。
この公約で、最も恩恵を受けるのは、まさに枝野氏が「この国を支える分厚い中流」と呼んだ、公務員や立憲民主党の支持母体である「連合」傘下の安定した企業に勤める人たちであり、厳しい言い方かもしれませんが、今回の新型コロナウィルス感染拡大の中でも、その生活への影響の少なかった人たちです。
現在本当にやるべきことは、こんな政策ではないはずです。この感染拡大の中で、アルバイトや仕事が減り苦しんでいる学生や片親世帯への現金給付等の支援、2020年度から、この感染拡大で収入が急速に減り倒産に至ろうとしている中小を含む企業や個人経営者への、2019年度支払った所得税との差額の全額または、一部の還付など、できること、しなければならないことはたくさんあるはずです。
枝野さん、考えて欲しい。今救わなくてはならないのは、一に「分厚い中流」の人たちではなく、今を今日を何とか生きぬこうと苦しんでいる、「分厚い中流」からはじき出されてしまった人たちや貧困に苦しむ若者たち、片親家庭、高齢者の人たちなのではないですか。