多頭飼育崩壊のブティックから救出された子猫たち 愛猫ロスの家庭に幸せを運んでくれた
■多頭飼育崩壊したブティック
ミリイちゃん(2歳・メス)とシャルちゃん(2歳・メス)は、多頭飼育崩壊の現場からレスキューされた。埼玉県にあるブティックのオーナーがえさを与えていた猫が、店の中で出産、母猫は4匹の子猫たちを育てていた。ミリィちゃんは、その中の1匹だった。その店には前の出産シーズンに生まれた若い猫も自由に出入りしていて、さらに別の猫も4匹子猫を産んで育てていて、シャルちゃんはその母猫の子猫だった。店の中は猫だらけで、その様子に常連客も驚いていたという。
埼玉県で暮らすOさんは、そのブティックがある町の隣町で自治会と協力してTNR活動をしていた。地域猫の対策部が設置され、町内から子猫がいなくなっていた。しかし、道を渡ってやってくる猫が減らないと、また野良猫が増えて子猫が産まれることが懸念されていた。
■子猫レスキュー
隣町からOさんのところに、多頭飼育崩壊のSOSが来たのでブティックに行ってみると、そこは何匹猫がいるのか分からない状態になっていた。
「初めて現場に入って4匹を見たのは2019年7月7日。子猫たちは生後1か月半くらいになっていました。母猫が育てていたのですが、栄養不足で目に風邪の症状が出ていました。その日のうちに病院に行ってノミ取りと点眼をしてもらいました」
Oさんは、いったんブティックの母猫のところに子猫を戻し、7月15日に引き取った。
「私たちが迎えに行く直前に母猫が子猫をくわえて引越ししようとしていたそうで、仲間が追いかけてドアを閉めたと聞いています。ギリギリのところで保護したわけです」
他の母猫が産んだ4匹の子猫も、ノミがひどくて貧血で死んでしまうかもしれないような状態で保護されたという。
ミリイちゃん、シャルちゃんを含む4匹の子猫たちは、「しあわせにゃんこ」の譲渡会に参加した。仲間が保護した子猫たちは越谷市保健所主催の譲渡会で里親が決まり、2匹ずつもらわれていった。みんな幸せに暮らしているという。
■新たな出会い
東京都に住む落合さんは19歳の愛猫を亡くした。最後を看取れなかった後悔のため、しばらく猫は飼えない、飼わないと思っていた。しかし、猫のいない生活は本当に寂しかった。
「猫を飼える環境なのだから、保護猫を迎え入れたら、その分保護団体のケージが空いて、助かる子がいるんじゃないか。そうすれば先代猫みはぃも喜んでくれるかもしれない、でもみはぃを看取れなかった私にそんな資格あるのか、と日々葛藤していました」
そんなある日、みはぃちゃんに背中を押される夢を見たのがきっかけで、「とりあえず譲渡会に行ってみよう、銀座なら良い子に会えなくても美味しい物を食べて気分転換できる」、と軽い気持ちで参加してみたという。
新しい猫を選ぶにあたり、落合さんにはいくつか条件があった。
・先代みろぅくんが私のストーカーだったのでヤキモキやいちゃうからオスはダメ
・夫婦でフルタイム勤務なので寂しくないように2匹がいい
・先代みはぃちゃんがお喋りで、よく話していたのでまたお話がしたい
こうした条件を伝えると、ブティックで保護されたミリイちゃんとシャルちゃんを勧められたという・
■猫がいると癒される
ミリイちゃんは、きれいな顔で声もきれいだった。シャルちゃんは、おしゃべりでキュートな鼻ポチちゃん。2匹とも夫の膝の上で寝てしまったのが決め手になった。
2019年9月14日、2匹がやってきた。すぐに家になじんで走り回り、ずっと一緒に遊んでいたという。
「電車の中でも大人しく寝ていたそうで、物怖じしない性格だと思っていましたが、今は臆病なのでちょっとビックリしています」
ミリイちゃんは、チェコ語で「良い」という意味、シャルちゃんはドイツ語で「魅力」という意味なのだそう。
「他の猫とかぶらない名前がいいなと思ったんです。主人とチェコとオーストリアへ行ったので、その言語で調べて決めました」
ミリイちゃんは、マイペースなのんびり屋さん。シャルちゃんをグルーミングする時だけは、なぜか食べてしまう勢いがある。シャルちゃんは、とてもおしゃべりだが、警戒心が強め。宅配の人がいなくなった後にすごい勢いで話しかけてくることがある。
2匹はとても仲良しで、落合さんは見ているだけで幸せな気持ちになれるという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)