子猫を追っていたら、知らないお宅の車の中へ、家の中へ! 放っておけなかった、おてんばな“我が子”
ミケ子ちゃん(推定4カ月・メス)は、愛知県に住む林さんの実家の庭にいた。2021年7月10日、林さんが自宅近くの実家に行くと、お母さんが「庭で子猫の鳴き声がするの」と言い出した。実家に来ていたお姉さんもその話を聞いて先に庭を探したらしく、「まだちっちゃい子が一人で鳴いていた」と言った。
林さんは気になって、夫と庭を捜索した。すると、裏庭の畑に子猫がいた。逃げられて見失ってしまったが、大きな道路に出て事故に遭ってしまったらと考えると放っておけなくなり、農作物用の網を片手に近所を探したという。
近所の人に不審がられながら捜索すること20分。もうあきらめようと思った時に、近所の人の車の下にいるのを見つけた。ところが、手を伸ばすと、なんと車の下からボンネットの中に入ってしまった!
「これはヤバい…と、そのお宅の呼び鈴を押し、『すみません、車のボンネットに子猫が入ってしまいまして、申し訳ないのですがボンネットを開けてもらえませんか』とお願いしました」
■一難去ってまた一難
当然のことながら、突然訪れたわけのわからない訪問者に住人は不審感をあらわにし、「え?お宅の猫ですか?」と聞かれた。林さんは、「とりあえず捕獲しなければ危ない」ということしか考えていなかったので、「う~~~ん、うちの猫ではないんだけど…」と返事に窮しつつ、「うちの猫ではないんですが、保護します!」と言い、住人に出てきてもらった。
車のボンネットを開けてもらうと子猫がいた!そう思った瞬間、住人が開けたままにしていた玄関扉から、今度は家の中に入ってしまった。
運悪く、物置にしてあった部屋の狭いすき間に入り込んだ子猫。人間の手が入らないほど狭いところに入り込み、引っ張り出すのも一苦労した。
「1時間ほどかけて引っ張り出しましたが、軍手をしていたにも関わらず、夫の手は子猫にかまれて血だらけに。そんなこんなで子猫が我が家にやってきました」
■そんなこんなで、我が子に
子猫にしたら、いきなり追いかけられて怖いのは当然だったのかもしれない。しかし、ミケ子ちゃんは、キャリーをのぞくと「シャッ!(怒)」とこちらに口を開けて向かってくるたくましい猫だった。
保護したその足で動物病院に行き、ノミダニの薬をつけてもらい、虫下しの薬も処方してもらった。先住猫がいたので、始めの3日間は2階建てケージの中に隔離して様子をみたという。最初は部屋をのぞくたびに「シャー」と威嚇していたが、5日目には触れるようになり、6日目にはゴロゴロ言い始めた。
林さんは、できたら知っている人で、信頼できる人に引き取ってもらいたいと思い、里親を探した。しかし、なかなか見つからず、自分たちで飼うことにした。
三毛猫なのでおそらくメスだろうということ、そして、当初は里親を探す予定だったので、「ミケ子」と仮の名前のつもりで付けた。しかし、家族として迎えることになり、改めて名前を考えたが、もはやミケ子以外の名前がしっくりこなくなり、「ミケ子」が本名になった。
■やんちゃな子猫
2匹の先住猫は、いまだにミケ子ちゃんのおてんばっぷりに圧倒され、高速パンチとシャーをお見舞いしている。
ミケ子ちゃんが来る前から主張が激しく甘えん坊の2匹は、さらに甘えん坊に拍車がかかり、軽い赤ちゃん返り状態に。
「夫婦共働きのため、仕事に行っている間はミケ子を別の部屋に隔離しています。帰宅したら、まず先住猫とたっぷり遊んで、甘やかす時間を取るようにしてストレスを和らげています。少しずつ距離を縮めて仲良くなってくれると信じています」
ミケ子ちゃんは野良生活を経験したからなのか、普段あまり鳴くことがなく、自己主張をしない。寂しがりやで人も猫も大好き、遊ぶのも大好きだ。
「このまま元気に成長してくれることを願っています。先住猫は生後10カ月の時に我が家に来たので、子猫を飼うのは初めて。やんちゃっぷりに驚くとともに、可愛らしいしぐさや行動にいつも癒されています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)