「痛風への影響ナシ」って本当ですか? いくらに含まれるプリン体の意外な少なさが話題に
いくらに含まれるプリン体の意外な少なさがSNS上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは以前、尿酸値で健康診断に引っかかって以来、プリン体や痛風に関する情報を収集しているというすむーずぷりんちゃんさん(@mat_der_D)の
「いくら食べ放題とか口走ると必ずと言っていいほど『痛風一直線』といったツッコミが入るから、今一度強調しておきたい
“いくらは魚卵では例外的にプリン体含有量が極めて少ない”」
という投稿。
一般に魚卵は多くのプリン体を含有しているイメージがあるが、すむーずぷりんちゃんさんがグルメ情報サイト「いくらは神の食べ物」から引用したグラフによると、いくら100gあたりのプリン体含有量は3.7mg。
これは白子(300mg)、明太子(159.3mg)、ズワイガニ(136.4mg)はもちろんのこと、白米(25.9mg)よりも格段に少ない含有量なのだ。痛風の発症など身体への影響はほとんどない。この衝撃の事実に対し、SNSユーザー達からは
「いくらでも食べれてしまうのか…()」
「つまり……いくらを盛って、白米を掛けて食べれば健康的なんですね!」
「プリン体の量=細胞の数で、卵は一つの巨大な細胞だから鶏卵だろうが魚卵だろうがプリン体が少ないのは当然なんですよね
明太子と白子のプリン体が多いのはそれぞれ卵巣と精巣、つまり臓器という細胞の塊だから」
「コンビニのおにぎりは米100g、明太子10gぐらいっぽい。明太子ご飯として食べるなら問題ないけど、酒のツマミとして食べる場合がやばそう。
白子もカニもイクラも好きだけど、食べる機会的に明太子がヤバいと思った。」
など数々のコメントが寄せられている。
すむーずぷりんちゃんさんにお話をうかがってみた。
中将タカノリ(以下「中将」):いくらの他にもこういった“意外にプリン体が少ない”食品はあるのでしょうか?
すむーずぷりんちゃん:例えば数の子もプリン体が少ない食品のようです。私も引用ツイートで初めて知ったのですが、そもそも魚卵は別にプリン体の高い食品ではないらしいです。グラフでは数値が高めに見える明太子も、食品一般で見れば特にプリン体が高いと分類されるような水準ではないそうです。
中将:いくらなどの魚卵がプリン体が多いイメージになってしまっていることについてどう思われますか?
すむーずぷりんちゃん:私も気になって魚卵がなぜプリン体が多いイメージなのか軽く調べたところ「プリン体は卵の数だけある→魚卵は卵がいっぱい→プリン体」という連想ゲームが原因ではないか、と出てきました。引用ツイートで指摘する方がちらほらおられたのですが、真相は「プリン体はDNAとほぼ同じだから細胞の数だけ多く含まれるので、一つの細胞である卵のサイズが大きいいくらにプリン体が少ないのは当然」ということのようでした。逆にDNAのサプリメントとかだと、グラフですごく高い数値になっていた白子の100倍とか入ってるらしいです。
理屈を知ると明らかに誤りなのに、なんとなくの感覚で信じられていることって、もしかすると意外と身近にたくさんあるのかもしれません。せっかくの美味しいいくらを幻想で我慢してしまっている人がいたとしたらもったいないことだなぁと思いました。
中将:これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。
すむーずぷりんちゃん:ツイートが伸びるといろんな方が反応してくださって面白いです。多かったのは「いくらをいくらでも食べられる」「痛風の先輩に知らせよう」「白子とか明太子やべぇな」みたいなところでしょうか。あと知らなかったプリン体知識がどんどん集まってきて、私自身とても勉強になりました。なお1万リツイートまで達成したのは初めてで、その点は素直に嬉しいです。
ちなみに痛風とプリン体の関係についてはこちらのコメントが詳しかったです。
「痛風の原因は尿酸
→尿酸を抑えよう
→尿酸の材料はプリン体
→プリン体を抑えよう
て流れがまず基本。
アルコールは『プリン体の分解を阻害する(?)』は間違いで『尿酸の排出を阻害する』が正解。酒はプリン体云々以前に大元の尿酸値が上がる(下がらない)原因だから控えるべき、て事らしいです。」
お酒はプリン体が少なくても痛風に悪影響というのも、いくらの事実と同時に知られてほしいです。
◇ ◇
痛風の発症には遺伝的な要因もあるが、プリン体が肝臓で分解されて生じる尿酸の値が大きく関わってくる。痛風の心配がある方はイメージだけに拠らず、ぜひ広い知識を得た上での予防を心がけていただきたい。
なおすむーずぷりんちゃんさんは今回の反響に乗じて京都・出町柳の焼き鳥居酒屋「Torico」をPRしていた。鶏と野菜がメインのお店なのでいくらはなかなか出てこないと思うが、痛風の知識豊富なすむーずぷりんちゃんさんがお気に入りとなるとなんだか健康的に美食を楽しめそうな気がする。ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)