ハムスターをケージごと駅のベンチに遺棄!?「小動物は捨てられたら死を待つだけ」コロナ禍で飼育放棄が激増
今年8月下旬、滋賀県内を走る近江鉄道のとある駅のベンチにケージごと捨てられていたというジャンガリアンハムスター(以下、ハムスター)。警察に「拾得物」として持ち込まれたあと、滋賀県動物保護管理センターへ収容され、同県動物愛護推進員の「もよまま」さんが引き取ることに。ハムスターは「殺処分」を免れることができました。
「保護当時、ハムスターは生後1、2カ月くらいのベビーちゃん。おそらく飼ってすぐに捨ててしまったのだと思います。ハムスターの寿命は2年ほど。私たち人間から見たらわずかの人生だというのに・・・。捨てた理由として考えられるのは、思っていたより世話が大変だった、あるいは匂いが苦手とか、アレルギーが出たとか。いろいろな理由があるとしても、命あるものを平気で捨てる神経が私には理解できません」と、もよままさん。
「小動物は警察で2週間落とし主(遺棄した人間)が名乗り出ない場合は傘と同じく“処分品”のような扱いなんです。センターに収容されたら、殺処分される子が大半ですから。私のような動物愛護推進員に引き取られる可能性はありますが、犬猫の保護に特化した推進員やボランティア団体がほとんどで、小動物がいても引き取りません。また保健所などの譲渡会の対象にもならない。だから捨てられたら、死を待つだけなんです」と話します。
■ウサギやハムスターが入ったリュックサックをごみ箱に遺棄 圧死と熱中症で死んでいた…
そんな誰からも救われない小動物を知ってから、何でも保護するようになったという、もよままさん。そして、今年入ってから小動物の遺棄が増えているといいます。
「滋賀の場合、今年入ってから、文鳥やニワトリ、ヘビ、リクガメ、ウサギ、モルモット、ハムスターなどの小動物の遺棄がありました。9月までに私が保護しただけでも8匹。やはり、コロナ禍でおうち時間が増えてペットを飼い始める人も増え、犬猫だけではなくお手軽に購入できる小動物にもペットとして注目が集まっているようで、遺棄などが増えている印象があります。収容された小動物の具体的な数字は動物保護管理センターから開示がないので分かりませんが…『警察落し物情報』などをみてもらったら全国的にも相当数いると思います。ある県では、ハリネズミの遺棄が続いたと聞いています」
これまでも炎天下にリュックサックにウサギとハムスターを入れたままゴミ箱に遺棄されていた事例があったとのこと。そのウサギとハムスターは圧死と熱中症で死んでいたそうです。繰り返される動物の遺棄に、もよままさんはこう訴えます。
「買うのは簡単、飼うのは何百倍の大変さがあります。でも飼う大変さと同時に動物とともに生きる楽しさがあります。だから、遺棄する人の気持ちに私は一生寄り添えません。どんな理由があっても。自分でペットを迎えたなら、自分にしか命の責任は取れないと自覚すべきですし、最期まで向き合ってほしいです」
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■遺棄されたハムスターに里親見つかる 「我が家のアイドル」に
もよままさんが引き取ったハムスターは、その後、ブログで里親さんを募集したところ、すぐに見つかりまりました。今は「むぎ」くんと名付けられ、里親さんのところで幸せに暮らしています。
「もよままさんのブログを見て、むぎを我が家に迎えようと考えました。これまでブログを通じて、動物の遺棄や多頭飼育崩壊の現状などその数の多さを知り衝撃を受けるとともに、いつか我が家にも保護された動物を迎えたいと心のどこかに思っていました。なかなか一歩を踏み出せなかったのですが…むぎを見て『ハムちゃんなら!』すぐに連絡させてもらったんです」と里親さん。
むぎくんをおうちに迎えてから「こんなにかわいくて小さな命が毎日どこかで遺棄されて、殺処分されているかと思うと、本当にやるせないとますます感じるようになりました。コロナ渦で時間があるからとお迎えし、世話しきれない、あるいはお金が掛かる…などの身勝手な理由で遺棄が増えているとよく聞きますが、その傍ら、もよままさんのように保護に奔走されている方々もいらっしゃるかと思うといろいろ考えさせられます。今のむぎは人間が大好きで、あざとい潤んだ瞳でおねだりしたりと、家族みんなを手玉にとるアイドルです! うちの子になって『幸せやなー』て、少しでも思ってくれてたらいいなと願う毎日です」と話してくれました。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)