子どもたちに「動物と一緒に成長」できる環境を 出会ったのは「手のひらにすっぽり収まる」小さな子猫たち
はちちゃんときゅうちゃん(4歳・オス)は兄弟だ。前にも何度か出産したことがある野良の母猫が、また妊娠、出産したので、2017年4月末、ボランティアが母子ともに保護した。5匹の子猫たちは生まれて間もなかったという。
石川県に住む戸塚さんは、子どもの頃からずっと動物のいる暮らしをしてきた。
「結婚出産を機に、子どもたちも同じように動物と一緒に成長できる環境を用意してあげたいと思い、猫を迎えることにしました」
■こんなにかわいい存在は他にはない
5月、戸塚さんは譲渡サイトではちちゃん、きゅうちゃんを見つけてお見合いに行った。まだ生後2週間くらいだった。はちちゃんたち兄弟姉妹は、別に保護された出産間近の猫と一緒にいて、この妊婦猫にくっついて暖を取っていた。
「手のひらにすっぽりと収まるくらい小さくて、母性本能がくすぐられました!かわいくて、かわいくて、こんなにかわいい存在は他にはない!と断言できるくらいでした。ミーミー鳴いている姿が今も忘れられません」
戸塚さんは、はちちゃんときゅうちゃんを迎えることにした。他の子猫も全員譲渡、母猫はTNRされたという。
■きゅうちゃんの異変
5月7日、2匹が家に来た。ダンボールに入ってみゃあみゃあ鳴いている姿は、とても可愛かったという。はちちゃんのほうが少し大きかった。
子どもの名前も数字にちなんでいるので、子どもからの提案もあり、「はち」と「きゅう」という名前にした。
数日後、兄弟猫のうち1匹が亡くなったと聞いて戸塚さんが落ち込んでいると、夜中に突然、きゅうちゃんが何度も続けて嘔吐した。みるみる体温が下がっていき、目も閉じていた。
「兄弟のことがあったので夜間診療している病院に片っ端から電話しました。ようやくすぐ診てくれる病院が見つかり、朝方車を走らせました」
獣医師に、「子猫はちょっとしたことが命取りになるから、連れてきてくれてよかったです!」と言われた。病院で点滴をしてもらって家に連れ帰り、温めてしばらく看病した。きゅうちゃんは数日経つとすっかり元気になった。今は、はちちゃんよりも大きくなったそうだ。
■こたつは封印
はちちゃんは好奇心旺盛で、運動神経が良い。体が軽くて野生的。外にいる鳥や動物にすぐ反応するという。
「小さいけど気が強く猫らしい性格です。お外行きたい病。気を抜くと脱走しそうでいつも困っています。好きな人にはとことん甘えます」
きゅうちゃんは、はちちゃんと違ってどんくさい。
「『え?猫なん?ほんとに?』と、驚くくらい運動神経ゼロ(笑)めちゃくちゃ癒し系です。すごく臆病で、私のストーカーです。体重7キロ弱になりました。死にかけたけど今はめちゃくちゃ健康優良児です」
2匹ともフミフミしたり毛布をくわえたりするのが大好き。
「これが可愛くて、夏でもリビングには毛布を置いています。一度冬にこたつを出したら、ずっとこもっていて全然出てこなくなり、寂しかったので翌年からこたつは出していません」
猫を迎えてから、子ども達はアニメや本など、猫に関するものを好んで見たり読んだりしているという。保護猫の本を読んだ時には号泣した。
「自分より小さくて、守らなければいけない存在があることを知り、自分ができることをやりたいという気持ちが芽生えたように思います。はちときゅうから癒しと笑い、温かくなる気持ちをたくさんもらっています」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)