猫じゃらしで遊んでくれた少年の後をずっと付いてきた小さな子猫 思春期で不安定なときも、いつもそばに
■ミャーミャーと訴えかけてきた子猫
きなこちゃん(9歳・メス)は、9年前の10月4日、朝から公園で鳴いていた。愛知県に住む飯田さんの次男が、登校時に近所の公園で「ミャーミャー」と鳴いている子猫を見つけたという。
気になりながら登校し、学校帰りに探すと、子猫は公園の近くの駐車場で鳴いていた。草をねこじゃらしにして遊んであげていたら、子猫は家まで付いてきてしまったという。何度も近所の空き地に連れていき、走って帰ってきても、一緒について来てしまった。そこから一晩、きなこちゃんは飯田さん宅の庭で「ミャーミャー」と鳴いていた。庭からで出て行く様子もなく、家に入れて欲しそうにずっと鳴いていた。
「小さくてやせ細っていて、目やにもひどく、正直可愛いとは思いませんでした。でも、おしりのあたりにも傷があり、このまま野良猫としては生きていけないと思い、家族で相談して我が家で保護することにしたのです。甘えてくる姿は、生きたいと強く訴えているように見えました」
■庭に置いてきたが心配で
飯田夫妻は、それぞれ実家では犬を飼ったことはあった。しかし、猫は飼ったことがな飼ったのでとても不安だったという。きなこちゃんを庭に置いたまま仕事に行ったが、気が気ではなく、近所に住んでいる祖母に様子を見てもらっていた。
「祖母から『ずっと家の倉庫の上で寛いでいるよーっ』と聞いた時、『これはもう家の子にするしかない!』と強く思いました」
帰宅後保護して動物病院に連れて行くと、猫風邪をひいていて、お腹に虫もいた。お尻にはカラスか他の猫にやられた傷があり、出血していた。ただ、それ以外には特に病気はなかったのが救いだった。お風呂に入れる見違えるようにキレイな子猫になった。
当時中学1年だった長男は、学校帰りに友達と、子猫には何を与えたらいいのかなどインターネットで必死に調べて、一生懸命世話をしたという。きなこちゃんは全く物おじせず、家族みんなに甘えた。
名前は和風の名前にしたいと思い、毛の色から「きなこちゃん」にしたそうだ。
■子供たちの心の支えに
きなこちゃんは甘えん坊で、嫉妬深い。
「一人っ子で育ってきたので、新入りのくろごまが来てからは、特に嫉妬心がメラメラしています」
お風呂が大好きで、家族が湯船に入っていると必ずといっていいほどお風呂の蓋の上でくつろいで寝ている。猫草が大好きで、庭に種を撒いて育てているのを知っているので、庭いじりをして家に帰ってくると、必ず「ニャーーニャーー」と鳴きながらついてまわる。
「ベジタリアンなんでしょうか(笑) 普段のご飯より喜んで食べています」
飯田家には2人の男の子がいるが、思春期の不安定な時期にきなこちゃんがそばにいてくれたことが精神安定剤になったのか、反抗的になってもイライラしていることが少なかったそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)