車のボンネットから保護された子猫 シャーシャーから一転、3日後には家になじみ元気に遊ぶ

■ボンネットの中にいた子猫

しらすちゃん(オス・推定1歳2カ月)は、子猫の時、群馬県で廃車のボンネットの中にいたところを保護された。

群馬県に住む北村さんは、近所の人のところで子猫が生まれたので子供と一緒に見に行った。北村さんも子供も子猫を見たり抱っこしたりするのは初めてだった。あまりの可愛らしさに子供は「子猫を飼いたい!」と言い出し、妻も飼いたいと言った。しかし、北村さんは慎重に考えたかったので、その時は見送ったという。

「妻は実家でも猫を飼っていて、幼い頃から猫のいる生活をしてきたので、いつか猫を飼いたいとずっと思っていたそうです。久しぶりに子猫を見て、飼いたい気持ちがより一層強くなったようで、毎週里親募集の掲示板を見て子猫を探していました」

やがて掲示板でしらすちゃんを見つけたという。

■まさかの猫アレルギー

猫を飼いたいということで家族の意見は一致したが、一つだけ問題があった。検査をしたわけではないが、北村さんはどうやら猫アレルギーのようだった。猫に触れるとくしゃみが出たり、目や首が痒くなった。そのため北村さんは猫を飼うのをためらったが、妻と子供は最高潮に盛り上がっていた。

2020年6月、北村さんは家族で保護主のところにしらすちゃんを見に行った。しらすちゃんは人に慣れておらず警戒心が強かったが、たとえどんな性格の子であろうとしらすちゃんを飼うと決めていたので、北村さんはしらすちゃんを譲渡してもらうことにしたという。

猫アレルギー対策として、猫を触ったら手を洗い、部屋の掃除をこまめにしていたら、いつの間にか症状は出なくなった。

名前の由来は、全体が白くて額がうっすらグレーがかっており、魚のしらすのようだと思って、しらすちゃんにしたという。

■シャーシャーから一転、家になじむ

しらすちゃんは生後1カ月くらいだった。洗濯機の下にいたが中に入ってしまい、どこにいるのか分からなかった。やっと姿を見せたが、撫でようとしてもシャーシャーと威嚇するので撫でられない。北村さんは、このまま人になれることはないかもしれないと不安になった。何匹もの猫と暮らしてきた妻でさえ、こんなに触らせない猫は初めて、これはダメかもしれないと言った。

せっかく飼い始めたのに、想像していた楽しい猫生活とは全く違っていた。「猫と沢山戯れて、かわいいねー!と言う子供たちを想像していたのですが、猫がまず触らせてくれない。なんとも最悪な出だしでした」

しかし、しらすちゃんは3日後にはすっかり家に慣れた。北村さんは、「人間だって新しい環境になれるには時間がかかるから、猫もそうだよな」と反省した。今では猫じゃらしなどで元気に遊んでいるという。

しらすちゃんと暮らすまで、北村さんは「動物は購入するものだ」と思っていた。保護猫を譲渡してもらうという考えは全くなかった。しかし、しらすちゃんを通じて保護猫のことを知り、命は「買う」ものではないことを知ったという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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