置き去りにされた子猫を迎えたら、娘の統合失調症が改善 笑顔が増え「幻聴や幻覚が少なくなった」
■置き去りにされた子猫たち
ホームズくんは、山口県のとあるコンビニが閉店し、その裏手に捨てられていた。そこに猫を捨てに来る人が後を絶たず、野良猫が増えていったという。そこにはもう1匹人懐っこい子猫がいて、隣に住んでいたAさんは、2匹の子猫の様子をボランティア仲間と見守っていた。
元コンビニの隣にはレストランがあり、そのレストランに用事で来た猫好きの女性が、「かわいそうだ」と言って、人懐っこい方の猫を連れて行った。Aさんはその女性に「もう1匹いますけど…」と声をかけたが、「1匹しか無理~」と立ち去ってしまった。「1匹では生きていけない」と思い、2019年10月5日、ホームズくんを保護した。
■愛着がわいて手放せない
Aさんがホームズくんを保護した理由はもう一つあった。譲渡会に来た人が「子猫が欲しい」と言っていたので、もらってくれると思って思わず保護したのだという。ところがその人はホームズくんをもらってくれなかった。ホームズくんを譲渡会に出した。
ホームズくんを2回目の譲渡会に出す頃には愛着がわいてきたが、里親希望者が現れた。まだ正式に申し込まれたわけではなかったが、「もう一度譲渡会に出したら里親が決まってしまうかもしれない」。そう思ったAさんは、ホームズくんを迎えることにした。
「統合失調症で精神障害2級の娘がいるので、あまり人と上手に関われなかったのです。娘のためにもホームズを迎えたいと思いました。夫は猫嫌いなんですが、私の親から夫に頼んでもらい、断れなくしたのです(笑)」。夫は猫が大嫌い。そのため夫がいる時はホームズくんは2階にいる。夫の姿を見るとホームズくんは逃げていく。
■物静かな相棒
犬やハムスターも飼っているが、娘さんは動物たちにとても好かれていて、ハムスターも後をついてくる。ホームズくんと仲良くなるのに時間はかからなかった。娘さんはホームズくんのご飯やトイレなど、何から何まで自分で世話をしている。物静かな娘さんとベタベタしないホームズくんは相性が良く、程よい距離を保って生活しているという。
「昔はすぐに寝込んでいた娘も、ホームズの世話をするようになり、明るく笑う日が増えました。幻聴や幻覚も少なくなって、猫の知り合いとも、少しずつ話せるようになりました」。動物たちのおかげで少しずつ元気を取り戻した娘さん。動物たちの絵を描いたポストカードの販売もしているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)