“猫風邪”感染が相次ぎ、猫の「保育園」存続の危機…今年7月に開園したばかり 「なぜ?」園長に聞いた

行き場をなくした外で暮らす野良猫たちを保護し譲渡へつなげようと、今年7月に開園された保護猫シェルター「ねんねこ保育園」(愛知県名古屋市)。開園直前から保護依頼が多数寄せられる中、預かったばかりの2匹の猫が脱走するという事態に見舞われました。対応に追われたという園長の紫野さん。当時をこう振り返ります。

「順調に開園へ向けての準備も整いつつありました。ですが、脱走防止策が甘かったために2匹の猫を脱走させてしまいました。その日から保育園の開園準備は中止し空いている時間は ほぼ捜索活動に注いで、何とか10日目に2匹とも保護。これで無事に保護猫たちのお世話と開園準備に戻れると安堵したのですが…それもつかの間でした」

■預かった猫2匹が脱走…開園準備を中断して捜索活動 その間に感染症がまん延

それは、脱走した猫たちを保護したあと、保育園内の猫たちの間でクラミジア感染症やヘルペスウイルス感染症などの猫風邪がまん延していたことが分かったのです。

「脱走の件が解決したあと、猫風邪が長引いていた子を病院に連れて行った際に、主治医から猫パルボウイルス感染症(以下、パルボ※)を疑われました。でも検査結果は陰性。ひとまず安心しましたが、直後に保護したばかりの子が亡くなり、その子に続くように猫風邪の子も息を引き取りました。さらに2匹の猫も猫風邪に感染していたようで、重症化させてしまい相次いで死んでしまったのです。猫風邪を甘く見ていました。当時は園内に30匹近くいましたが、ほぼ全頭に感染を拡大させてしまったんです。忙しかったことにかまけて感染が広がっていたことに気付くことができず…とても悔やみます」

■猫風邪のほか、白血病キャリアで発育不全、疥癬、横隔膜ヘルニアなど病気を抱える猫も…

園内で猫の死が相次ぎ、感染症の予防のために消毒液や検査キットなどを購入。それから猫たちの通院費も含め医療費の負担が増え続け、開園したばかりだというのに保育園運営の危機に陥っているといいます。

「現在、保育園と自宅のシェルターも含めて32匹の猫がいます。まだ感染症の子が数匹いるほか、保護前から疥癬(かいせん)を患っているスーくんや白血病キャリアで発育不全のトトちゃん、エイズキャリアのあずきちゃん、横隔膜ヘルニアのトワくんなど病気の子も多数抱えております。いずれの猫もお外の厳しい環境下で暮らしてきた子ばかり。病気を持っていることは多々あります。病気だからという理由で“入園”を断ったりはしませんので、保護された皆さんに頼っていただいて自然と私の園に病気の子たちが集まってきてしまうのかもしれません」

「ねんねこ保育園」は、いつでも気軽に足を運べる“毎日譲渡会”を銘打った開放型保護施設を目指して開園したという紫野さん。開園当初から、病気の子を多数抱えるなど厳しい船出となりました。

「過酷な生活をしてきた元外猫たちがのびのびと安心しできる空間、訪れる人と交流し、安らかな眠りをを与えてあげられるそんなシェルターを作りたいと思っていたのですが…たくさんの病気の子を抱えてしまい、譲渡活動も難しい状況です。自分自身を責めたこともありましたが、今はとにかく通院や看病などに尽くしながらも、里親さんへとつなげる活動を継続していきたいと思います」

※猫パルボウイルス感染症…感染すると、発熱や嘔吐、下痢といった症状を示して、重症化すると数日間で死に至ることも。特に免疫力が低い子猫は致死率が高くなるという。

■保育園存続のため、クラファンで支援を求める

現在、保育園存続のため病気の保護猫たちへ医療費の協力を求めて「CIRCLE OF LIFE(サークルオブライフ)」にてクラウドファンディングにチャレンジ中です。10月31日までに100万円を目標に支援を募っています。

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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