真冬の庭に現れた小さな猫を保護 先住猫の威嚇がひどかったが、半年後には夜中に大運動会も
■真冬に現れた子猫を保護
くろごまちゃん(メス・2歳)は、野良猫だった。2020年1月、くろごまちゃんは、愛知県に住む飯田さんの家の駐車場や隣の庭に姿を見せるようになった。子猫ほど小さくもなく、大人の猫ほど大きくもなかった。
「小さめの猫がいるなと思っていて、この寒さの中、母猫も兄弟もいないのにたった1匹で冬を越せるのか心配になりました。庭に毛布を敷いたダンボール箱と水を置いておきました」
くろごまちゃんは、夜になるとダンボール箱の中に眠りに来ているようだった。やがて雪が降るほど寒くなり、飯田さんは毛布にカイロを貼るなどして様子を見ていた。
「無責任に餌やりもできず、かと言って外猫のまま育っていけるのか心配で、保護する決意をしました」
飯田さんは2週間くらい保護する機会を伺っていた。夜は眠りに来るが昼間はどこかに出かけているようだった。臆病で警戒心が強く、飯田さんは一筋縄ではいかないと思った。2020年2月9日、捕獲作戦を決行、玄関まで続く餌の道を作り、そのまま家に招き入れた。
■かつてのような後悔は、もうしたくない
飯田さんはきなこちゃんという保護猫を飼っているので、「猫を保護したけど飼わないか」と何度か言われたことがある。しかし、なかなか2匹目を飼う気にはなれなかった。ところが3年ほど前に裏の空き地で子猫が生まれたらしく、黒猫が楽しそうに飛び回っていた。親猫も見当たらず、今度見かけたら保護しようと決意をし、裏庭に水や餌を置いて待っていた。しかし、子猫はなかなか現れなかった。
「ある日、庭の草むしりをしていたら、あの小さい黒猫が庭の片隅で息絶えていたんです。その姿を見た時は、『なんであの時すぐに保護してあげなかったのか』と、自責の念に駆られて涙が止まりませんでした。今度同じような子に巡り会えた時は、ためらわずに保護しようと強く思っていたので、くろごまを保護することにしたのです」
■先住猫と次第に仲良く
先住のきなこちゃんと生活圏を分けるため、飯田さんはくろごまちゃんを玄関に置いたケージの中に入れた。くろごまちゃんは恐怖心からか、夜中じゅう鳴き続けた。
「リビングルームにケージを入れてからは、ケージに布を被せました。きなこの威嚇がひどかったのですが、時間がくれば治まると思い、気長に距離を縮めていくことにしました」
名前は、きなこちゃんが和風の名前だったこともあり、「クロちゃん」と呼ぶようになったので、くろみつちゃんかくろごまちゃんにしようと思い、最終的にくろごまちゃんになったという。
くろごまちゃんは警戒心がとても強く、人間にも猫にもビビっていた。きなこちゃんも威嚇をやめなかったが、半年過ぎた頃には、同じ場所で過ごしたり夜中に大運動会をしたりするようになった。
■誰が一番猫に愛されている?
くろごまちゃんは、臆病だがひょうひょうとした感じ。最初の半年くらいは人を怖がって、一緖におもちゃで遊んでいても、触ろうとすると逃げたり猫パンチを繰り出したり、噛んだりした。
「だんだんなでてほしいとお腹を見せたり、ご飯を用意していると足元ですりすりしたりするようになり、距離が縮まってきたように思います。きなこにもお腹を見せるのですが、どうやら降参しているようです」
猫が2匹になっても特に生活に変化はないが、「今日はどの子が誰の布団で寝てくれるか?」と、みんなで猫の奪い合いをするような感じになっている。 くろごまちゃんは大抵飯田さんの布団の足元で寝るが、 きなこちゃんは長男ラブなので、長男の部屋で寝ているという。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)