「9割以上の車が一時停止しない!?」もっとわかりやすくすれば… 横断歩道デザイン変更の提案が話題に

横断歩道は原則として歩行者優先で、車には減速義務や停止義務がある。しかし実際にそれを守るドライバーは少なく、信号機のない横断歩道にいたっては歩行者が渡ろうとしていても9割以上の車が一時停止しないのだという(2016年・一般社団法人日本自動車連盟調べ)。

今、SNS上ではそんな状況を少しでも改善すべく横断歩道のデザイン変更を提案する投稿が話題になっている。

「歩行者が絶対優先のはずの横断歩道でいまだに『7割超が一時停止せず』みたいなことになってるのって、横断歩道が道路っぽいからだと思うんだよね。右図みたいに『(車が限定的に)横断(することを許される場合もある)歩道』っぽいデザインにすれば、少しマシになる気がする。」

この投稿の主は都内で働くソフトウェアエンジニアの河本健さん(@kenkawa_etc)。

■「横断歩道を歩行者専用道路みたいなデザインに」SNSユーザーの反応は…

たしかに現状のほとんどの横断歩道はアスファルトに白線を描いただけのもの。そうではなく、横断歩道も歩道と同様のデザインにすることで、ドライバーの意識を変えられないかというのが河本さんの提案だ。河本さんの投稿に対し、SNSユーザー達からは

「犬の散歩でよく横断歩道を渡りますが、幹線道路だと体感95%くらいは止まりませんね

仕事で車を運転している人は割と止まってくれますが、通勤の人は基本無視ですね

警察がガッツリ一斉取り締まりをやれば少しは減るかな?」

「車社会の地域に住む者です。

私は普段、自転車か徒歩です。

前に一緒に働いた30代の女性(小さいお子さんがいる)に質問しました。

『なぜみんな横断歩道で止まってくれないの?』

彼女いわく『私も絶対止まらない』との事。

そういう認識を変えていく為には、自動車教習所の教え方にもあるのかなと。」

「アイディアとしては面白いと思う。

道路事情や維持費などの問題も見えているが、これを無下にするのも勿体ない。」

など数々のコメントが寄せられている。

■「イギリスでは横断歩道では必ず車が止まるのに、日本ではなぜ?」

河本さんにお話をうかがってみた。

中将タカノリ(以下「中将」):このアイデアを思い付かれたきっかけをお聞かせください。

河本:私が育ったイギリスでは横断歩道では必ず車が止まるため、日本に帰ってきて止まらないことに驚き、その違いの理由をずっと考えていました。教育や罰則の不足などもあるのかもしれませんが、軽く調べただけでは大きな違いがあるようには見えませんでした。そのため「なんとなく」以上の理由が無いのでは無いかと考え始めました。

私はデザイナーではありませんが、デザインは人の「なんとなく」を変える効果的な方法です。そこで「横断歩道は車道じゃなくて歩道」を意識づける形を考えたところ、今回の提案を思いつきました。車が横断歩道を渡る時に「歩道を横切っている」という気持ちになるような見た目にすれば、道路交通法38条に則って歩行者の通行を妨げないようになるのではないかと考えました。

実際、Twitterのコメントでは同じ考えで作られた海外の事例が多数紹介されているようで、効果は分かりませんが実現可能ではあるようです。

■山口県では視認性を向上のため「白と緑の横断歩道」の設置を発表

中将:先日、山口県防府市でも視認性を向上させるため「白と緑の横断歩道」の設置を発表しましたね。

河本:改善を試すことはとても素晴らしいと思います。ツイートに書いたように「気づきやすくする(違う色にする)」と私の「歩道っぽく見せる」のは異なる思想ですが、私の提案も含め何が効果的かは実験してみないと誰にも分かりません。そのため一つの変更で終わらせるのではなく、効果測定と検証も合わせて行ってくれることを願っています。

中将:これまでのSNSの反響へのご感想をお聞かせください。

河本:大多数は肯定的な意見で、この問題を同じく悩んでいる方々の存在に気付かされ、勇気づけられました。

同時に、「すぐ壊れるから無理」「なにしても行動を変えるのは無理」「滑るから無理」などの「種レベルの発案の段階で枝葉末節で全否定する人たち」の存在が印象的でした。防府市のような実験的な改善に対してもこういう声が多数届くことは想像に難くなく、都市設計で仮説検証を行っていく難しさを感じました。

また横断歩道で止まらない方々の意見も多数ありました。「急に止まったら危ないから」「追い抜きする人がいたら危ないから」「対向車が止まらないかもしれなくて意味ないから」「歩行者も他の場所でひどいから」など、法律の勘違いと他者への責任転嫁が感じられて、正直こういう方々がハンドルを握っているのかと思うと不安な気持ちになりました。

 ◇ ◇

横断歩道の機能向上やドライバーの意識改善に関しては全国でさまざまな取り組みがあるようだ。今回のようなアイデアが積極的に検証、実施され、不幸な交通事故が少しでも減少するよう願いたい。

なお河本さんは今回の横断歩道だけではなく「寝転がっているだけでマッサージしてもらえるTシャツ」など数々のデザインや発明を発表している。

公式サイトでは過去の代表作が紹介されているので、ご興味のある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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