読み方が同じ2人の「かめいあきこ」さん 注目の衆院選島根1区 陣営に聞いた
10月31日に投開票される衆議院議員選挙の島根1区(松江市など)で、読み方が同じ2人の「かめいあきこ」さんが立候補を届け出て、選挙運動が展開されています。立憲民主党の前職、亀井亜紀子さんと無所属の新人、亀井彰子さん。選挙に立候補するための被選挙権は、文字通り国の政治に参加する参政権のひとつですが、同じ選挙区で読み仮名が同じ候補者が出るという偶然が、全国的な注目を集めています。
■亜細亜の亜に、紀州の紀、子どもの子
2017年の選挙では、自民党の前職、細田博之さんが選挙区を制し、亀井亜紀子さんは比例復活で初当選しました。今回、亀井亜紀子陣営が亀井彰子さんの存在を知ったのは、10月12日に開かれた立候補予定者説明会でした。「ひらがなで『かめいあきこ』と書いてもらっても、(どちらの票が判別できない)案分票が増えてしまう」と、亀井亜紀子陣営は貼り出す予定だったポスターや支持者に送る選挙ハガキを差し替えました。
もともとは、少しでも書きやすいようひらがな交じりの「亀井あきこ」していましたが、これでは亀井彰子さんと混同される恐れがあるため、「かめい亜紀子」に変更。SNSでも「ひらがなで書くと読み方が同じ候補と見分けがつかなくなるため、必ず漢字3文字で〈亜〉+〈紀〉+〈子〉=【亜紀子】とお書きください」と呼び掛けています。
■選挙ポスターは似顔絵、第一声行わず
一方、亀井彰子さんは、公示後の第一声の演説を行いませんでした。選挙ポスターは顔写真ではなく似顔絵で、選挙公報には手書きで「初めて『政治の世界』に挑戦します」「立候補したことによって、選挙制度の理不尽さ 大政党に絶対優利ーを痛感しました」などとつづっています。また、地元紙の選挙サイトには、亀井亜紀子さんと細田博之さんのアンケートの回答が掲載されていますが、亀井彰子さんについては「本人の意向で回答しなかった」との説明があります。亀井彰子さん陣営に取材を試みましたが、連絡がつきませんでした。
例えば、投票用紙に「かめいあきこ」と書かれた場合、その票は得票数に応じて両者で分け合うことになります。このため、選挙への影響を心配する人もいます。
党幹事長を務めるなど重鎮である細田さんにとっては11回目の選挙。「予定通り着々と進めている。30年やってるんですから」と陣営幹部。2人の「かめいあきこ」については「びっくりした」といいます。「うちは全く関係ない。地元メディアはそんなこと聞いてこない」と話しました。
「亀井」「かめい」「あきこ」と名字か下の名前のどちらかしか書かれていなかったり、「亀」「かめ」「あき」と途中で終わっているような票はどうなるのでしょうか。島根県選挙管理委員会は「特定の候補者に注目が集まることになるので、コメントできない」としています。ちなみに、今回の衆院選では、立憲民主党と国民民主党の略称がいずれも民主党であり、「民主党」と書かれた票は案分票として両党の有効得票数に応じて比例配分されます。
姓名の読み方が同じ候補者が同じ選挙区で立候補した事例について、総務省は「データを取っておらず何もコメントできない。どこまでまれなケースなのかといったことも言えない」としています。
(まいどなニュース・伊藤 大介)