「子育てと仕事で忙しくて」「コロナ禍だから」病院に行かず、大変なことになったママたち 3人の体験談
「このくらいなら自力で治せそう」「ちょっと違和感があるけど生活に支障ないからいいか」…。病院に行こうかなと考えていても、子育てと仕事で忙しくつい我慢してしまったり、コロナ禍で病院に行くことをためらっていたりするうちに、けっこう大変なことになっていた…というケースもあるようです。とはいえ、大ごとになってから「あのとき病院に行っていれば…」と自分を責めたり後悔したりするのは悲しすぎます。重い腰を上げて病院に行ってみたら「大ごとになっていた」という3人ママたちの体験談を紹介します。
■下腹部の違和感を放置してしまった結果
下腹部の張りや少し突っ張るような痛みを感じていたにも関わらず、「便秘気味だし…生理間近だし…」と放置した結果、卵巣に問題があったというのはYさん〔30代・子ども5歳、3歳〕です。
▽感じていた違和感とは
今年はじめくらいからなんとなくお腹が張った感じや、重いものを持ったり走ったりすると、お腹の右側が突っ張るような痛みがありました。でも、下腹部の張りや痛みがあるとだいたい生理も来るし、「生理の予兆だろうな、痛みもちょっと便秘気味だからだろうな」と勝手に様子を見てしまいました。生理の痛みは普段飲んでいる鎮痛剤で抑えていました。
▽病院に行こうと思ったきっかけ
右手で重いものを持った時、「うわ、痛!!」という強い痛みが走りました。それを見ていた主人が「前からなんとなく痛いって言ってたし、病院行った方がいいよ」と勧めてきました。それでも「重いもの持った刺激で痛んだだけ。コロナ流行ってるし、不要不急の受診は控えよう」と数週間放置してしまいました。ある日階段を駆け上がったら、同じ痛みが…。これはさすがにヤバいかもと思い、かかりつけの内科に行ったところ、「婦人科の方がいい」と紹介状を書いてくれました。
▽どんな症状だったのか
婦人科で血液検査、超音波検査をした結果、卵巣のう腫でした。良性だったものの、こぶし大くらいの大きさだったので、手術で腫瘍を除去することになりました。のう腫の大きさ・範囲から、のう腫のみの摘出手術となったため、開腹ではなく腹腔鏡手術。おかげで手術+入院5日間で済みましたが、それでも長く感じましたね。
▽入院中の家事や育児や仕事は?
私の母は亡くなっているし、主人の母も高齢で頼めない。家事や育児は、オール主人頼みでした。保育園が入院~私の状態が良くなるまで19時半まで延長保育を快諾してくれたのが、本当にありがたかったです。私が入院中の晩御飯は、出前やでき合いが多かったようですが、娘たちはけっこう喜んでいたようです(苦笑)。仕事は2週間ほど休みましたが、傷病休暇でまかなえました。
▽現在はどのような治療をしているのか、どう過ごしているのか
現在、特に服薬などの治療はしていません。年1回の健診では卵巣の状態は分からないこともあるので、これからは1年に1回、婦人科で卵巣の検査を欠かさず受けようと思っています。2週間ゆっくり身体を休ませたので、今は普通の生活を送れています。
■健康診断を先延ばしにしたら…
年1回は受けるべき健康診断。しかしコロナ禍で「今回は見送ろう」と飛ばしてしまう方も多かったようです。「来年受ければいいか」と先延ばしにしていたHさん(30代・子ども9歳、5歳)にはある病気が見つかりました。
▽なぜ先送りにしてしまったのか
健診予定日が(2020年の)緊急事態宣言が出た1週間後くらいでした。「半年後くらいに延期してもらおう」と連絡すると、すでに近隣の病院はいっぱいで、かなり遠くの場所になってしまうとのこと。
「健診で感染しちゃったら元も子もない…あまり遠い場所でも、子どものお迎えに間に合わない」と悩みまくり、結局1年先送りにしてしまいました。結局、1年後はもっと感染者数が増えていましたが…
▽どんな症状だったのか
乳がん検診(触診、マンモグラフィー)ののち、生検で初期の乳がんが分かりました。聞いたときは頭が真っ白になり、「死ぬのかな…」と思いました。初期で非浸潤がん(がん細胞が乳管内にとどまっていて、他の組織に広がっていない)でしたが、乳がんは比較的全身に転移しやすいタイプということもあり、きっちり切除する治療法を選びました。片方の乳房を取る…また頭が真っ白になり、死ぬほどの葛藤がありましたが、「とにかく今は死ぬわけにいかない、とにかく生きよう。もうオッパイをさらけ出す歳でもないし…」と必死で自分を励ましました。
▽入院中の家事や育児や仕事は?
主人の妹2人に応援をお願いしました。主人とかなり歳が離れていて、まだ2人とも若くて独身、1人の妹は時間の融通が利く仕事なので、下の子の保育園のお迎えなども頼むことができました。もちろん主人も頑張ってくれましたが、「妹たちがいなかったらパニックだったかも…」と言っていましたね。
▽現在はどのような治療をしているのか、どう過ごしているのか
入院期間はおよそ2週間。術後数日は傷が痛かったですし、動くとしんどいので、トイレやお風呂も辛かったですね。がんが取りきれたので、今は服薬だけ。特に化学療法は行っていません。退院後は、義妹たちに手伝ってもらいながら、家事・育児をゆっくりリハビリ的にやっていました。1カ月ほど傷病休暇を取りましたが、今は普通に仕事に行っています。体力や免疫がかなり落ちたので、コロナ感染にはかなり気を遣っています。
■めまいはただの疲れによるものだと思い込んでいたら
なんとなくフワッとするめまいを感じていたけど、「寝不足や疲れからだろうなー」と思い、サプリなどを飲んで様子を見ていたけど改善しない…受診した結果、うつ病だったというママの体験談を紹介します。
▽感じていた違和感とは
朝起きたとき、座って仕事をしていてふと顔を上げた時など、なんとなく身体がフワッと浮くような何とも言えない感覚がありました。「これめまいかも?」と思いましたが、忙しくて病院に行くのも億劫でした。睡眠不足や疲れからだろうな~と思い込み、サプリメントや滋養強壮剤を飲んでしのいでいました。
▽病院に行こうと思ったきっかけ
主人や母に「なんとなくめまいっぽくて」と伝えたら、「すぐ病院へ行け!!」と怒られました(苦笑)。耳鼻科を受診したり、脳外科で採血、CTやMRIまで撮ってもらいましたがなんともなし。「心因性」かもしれない、と心療内科を勧められました。「楽観的な私が心の病!?心療内科!?」と動揺しましたが、いっこうにめまいが治らないので意を決して心療内科へ。
▽どんな症状だったのか
長い問診の結果、「精神的なストレスや自律神経の乱れからくるものだろう。軽度だけど、うつ病になりかかっている」と診断されました。うつ病なんて自分とはまったく無縁だと思っていたので、ショックというよりビックリしました。軽度発達障害を持つ子どもの育児をしながらの仕事、子どもの通院や療育など、そしてそれを「頑張らなきゃ!」と気負う気持ちが、知らず知らず相当なストレスになっていたようです。
▽現在はどのような治療をしているのか、どう過ごしているのか
めまい止め、一番軽い抗不安薬を処方してもらいました。「心」に関係する薬を飲むのは初めてだったので、正直抵抗がありましたが、ずいぶん楽になりました。以前は家事を早めに終わらせて、「とにかく子どもの相手をしなきゃ」といつも焦っていましたが、「TV見せちゃってもいいか」「長い時間ipad見てるけど、まあいいか」と肩の力を抜いて過ごすようにしています。
■「自分のかかりつけ医はある?」ママたちに聞いてみた
20代、30代のうちはまだ若さで乗り切れる体力や回復力がありますが、40代に差し掛かると、体力や免疫力はグッと下がってきます。30代のうちから、自分の体の状態を知るためにも、かかりつけ医を見つけておきたいもの。
30代、40代のママたちにどのくらいのスパンで、どのようなタイミングでかかりつけ医に診てもらっているかなどを聞いてみました。
◇ ◇
▽病気の疑いがあるので定期的に受診
特に投薬などの治療はしていないのですが、血液検査で甲状腺疾患の数値が高いことが分かったため、3カ月に1回大学病院で定期検診を受けています。血液検査、尿検査、エコーなどの検査で多角的に診てくれるので、自分の体の状態が分かるし、もし何かあってもすぐ対応してくれるので安心です。〔Sさん、40代・子ども14歳〕
▽喉が弱くなったので、症状が出たらすぐ
30代後半になって、季節の変わり目に必ず喉の痛み・軽い咳が出るようになってしまいました。その頃から、少しでも喉が痛くなったら、すぐに近所の内科に行くようにしています。小児科も兼ねているので、親子でお世話になっています。コロナ禍で行くのをためらいそうになったこともありますが、このご時世外で咳はしずらいので、やはりすぐ行きました。〔Tさん、40代・子ども13歳、11歳、8歳〕
▽乳がん家系なので
祖母、叔母が乳がんで亡くなり、母も乳がん経験者。がん家系ともいえるので、半年に1回は近くの乳腺専門クリニックで乳がん検診を受けるようにしています。最初はマンモグラフィーが痛くて泣きそうでしたが、今では慣れたもんです(苦笑)。〔Fさん、30代・子ども8歳〕
◇ ◇
「調子悪くても、自分の時間が取れるならゆっくりしたい」「少しの不調でコロナ禍で病院に行くのはちょっと…」その気持ちはよく分かります。でもその少しの不調が、身体が発している重大な「SOS」の場合もあります。それまでまったく出ていなかった症状が少しずつ出ているサインの可能性も高いのです。
決して脅すわけではありませんが、「あれ…?」という自分の勘は、どんな医者よりも正確なこともあります。もしそれが空振りに終わっても、それはそれでいいのですから(というかその方がいい!)。
コロナ禍で(病院での)感染が怖い、医療従事者の方の負担になるのも…と受診を控えてしまいがちですが、健康診断や受診はできるだけサボらずにおきたいものです。大ごとになる前に、そしてこれからの長い人生を健康に送るためにも!
(まいどなニュース/BRAVA編集部)