懐かしの「キーン」という音がする通勤電車 201系がまもなく消滅 今のうちに…関西まで見に来てみる?

JR東日本管内では絶滅したものの、JR西日本では活躍が続く国鉄型通勤電車201系。乗車すると最近の電車では聞けない「キーン」という音がします。終焉が近づく201系をレポートします。

■10月から本格的に置き換えが進む201系

2021年10月現在、201系は大和路線(関西本線)とおおさか東線を中心に活躍していますが、10月2日のダイヤ改正から本格的に置き換えが開始されました。

まず大和路線で使用されている201系(6両編成)を順次、白色の転換クロスシート車両221系(6両)に置き換えています。201系は4扉トイレなしですが、221系は3扉トイレありなので、サービス面では改善されることになります。おおさか東線も来春から221系への置き換えが本格化します。

JR西日本は2020年2月に201系の運行終了を発表しています。置き換えは新型車両225系をJR京都線・JR神戸線(東海道・山陽本線)に投入し、同線の快速で使用されていた221系を大和路線やおおさか東線へ転属させる、という方法です。つまり201系がそう遠くない未来にJR線内から消滅することになります。

■オイルショックと共に誕生した201系

ここで201系の簡単なプロフィールを紹介します。201系は国鉄時代の1979(昭和54)に試作車がデビューし、2年後の1981(昭和56)年から量産が開始されました。当時、日本は石油ショックに巻き込まれ「省エネ」という言葉が流行っていました。そこで国鉄は当時の新技術である電機子チョッパ制御を採用した新型通勤電車201系の開発を決めました。

電機子チョッパ制御を用いると、ブレーキをかけた際に発生する電力を架線に送る回生ブレーキが常に使えるという利点があります。要するに電気のリサイクルができ、発熱も少ないことから従来の制御機器よりも省エネルギーが実現できる、ということです。

車体は従来の103系を基本としつつも、前面は左右非対称になり、鋼製の黒パネルを取り入れるなど新時代を予感させるスタイルになりました。また国鉄型通勤電車では営団(現東京メトロ)東西線直通運転用に製造された301系以来となる空気ばね台車が採用され、乗り心地が大きく改善されました。

201系は中央本線、中央・総武緩行線、東海道・山陽本線に投入されましたが、103系のようにあらゆる路線に使用される通勤型電車にはなりませんでした。結果的に新技術を詰め込んだ結果、高コストな車両となり、赤字体質の国鉄にとってはさらなる量産が難しくなったからです。

関東地区では2011年(平成23)年に姿を消しました。関西地区では東海道・山陽本線撤退後、2019年まで大阪環状線・ゆめ咲線でも使用されました。

■「キーン」という音がする車内

筆者はJR神戸線沿線に住んでいるということもあり、201系は馴染みのある車両のひとつです。リニューアル後に車内の座席の色は青色になりましたが、製造時は暖色系のモケットとなっていました。

また座席の真ん中1人分はオレンジ色となり、きちんと着席乗車ができるように工夫されていました。もっとも、小学生の時は「オレンジ色の部分だけシートが柔らかいのかな」と思っていましたが、乗り心地は他の箇所と変わりません。

201系に乗ると「キーン」という独特の音が聞こえます。電機子チョッパ制御では主回路に流れる直流電圧を高速でON/OFFします。「キーン」は電機子チョッパ制御の作動音。201系に限らず電機子チョッパ制御を採用している車両は「キーン」が聞こえます。関東ですと東京メトロ8000系や東武9000系などが挙げられます。

201系がバリバリ働いていた頃は読書中の「キーン」は煩わしく思いましたが、現在は懐かしく聞こえるものです。201系が働くおおさか東線は東海道・山陽新幹線の始発着駅の新大阪駅を起点としているので、関東の方も「キーン」を聞きに訪れてはいかがでしょうか。

(まいどなニュース特約・新田 浩之)

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