公園に捨てられていた子猫、愛猫を失いペットロスになった人を救う 今では「可愛い一人息子」

■捨て猫 

てんちゃん(3歳・オス)は、 2018年8月、保護主が公園をジョギングしていたところ、突然駆け寄ってきてスリスリ甘えてきた。

その公園では毎日地域猫ボランティアが見回りしていたので、どんな猫がいるのかは分かっていた。しかし、てんちゃんは突然1匹で現れ、ものすごく人に懐いていたので、「誰かに飼われていたが、公園に捨てられた」とみられる。保護当時生後1カ月半くらいで、あまりにも小さかったので保護したという。

■また猫と暮らしたい

中野さんは、以前実家で保護猫を飼っていた。近所の子どもたちにいじめられていた子猫をお母さんが保護して連れ帰り、突然「今日からこの子をうちで飼います」と宣言。家族に相談することなく迎え入れた。中野さんは犬を飼いたくて、お父さんと一緒に犬小屋を手作りしていた。そんなところにひょっこり現れた小さな愛くるしい子猫。20歳まで長生きして、中野さんと姉妹のように育ったため、亡くなった後はペットロスに陥ったという。

大切な「家族」を亡くした中野さんは、悲しい思いは二度としたくないと考えていたが、数年後保護猫ボランティアをしている友人から「家族のいない、寂しい思いをしている猫ちゃんが沢山いるんだよ。猫のことが本当に好きなあなたに里親になってほしい」と言われた。それを機に中野さんは、また猫と過ごしてみたいなと少しずつ思うようになったという。

「もちろん新しく家族になるなら保護猫を迎えたいと思っていたので、譲渡サイトでご縁を探していました」

■自慢の一人息子

譲渡サイトでてんちゃんを見た中野さんは、保護主に連絡してトライアルに進むことにした。てんちゃんは、こちらの気持ちを読み取るかのような、不思議な目力のあるイケメンニャンコだった。右の前脚から肩にかけて真っ白な毛で、遠山の金さんを彷彿とさせるような柄にインパクトがあった。

保護主から聞いた話では、保護当時、おもちゃでひとしきり遊んだ後、甘えん坊になってコテっと寝ていたという。

2018年9月1日、保護主さんがてんちゃんを連れてきてくれた。てんちゃんは初日からよく食べ、よく寝て、よく遊ぶ子で、人見知りや場所見知りをしなかった。てんちゃんという名前には、天から授かった、天真爛漫な子という意味が込められている。

てんちゃんは窓から外を見るのが大好き。引っ越す前の家では、毎日窓から近所の人に愛嬌を振りまいて可愛がられていたので、「天はいい仕事するね!」とよく笑いながら話していた。

甘えん坊だが甘えるのは下手な不器用さん。運動神経が良いけどドジっ子。またてんは言葉をある程度理解しているようで、話しかけると可愛い声で返事をしてくれるという。ベランダで散歩したり、エコバッグやダンボールに入るのが好きだ。

てんちゃんを迎え、中野さんは長年引きずってきたペットロスから立ち直ることができた。

日常がてんちゃんを中心に回っていて、毎日が楽しく、旅行にも行かなくなった。

「出張先からてんにビデオ電話するようにもなりました(笑)。可愛い自慢の一人息子です」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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