勝敗を分けた選挙の投票用紙、数え終わった後はどうなる?
55.93%だった第49回衆院選の小選挙区投票率。前回2017年の53.68%を2.25ポイント上回ったものの、数字自体は戦後3番目の低水準でした。笑った人、泣いた人、比例選復活で胸をなでおろした人、それもかなわなかった人ら全国津々浦々でドラマが繰り広げられましたが、ところでわたしたちの一票はカウント後、どうなったのでしょうか。そのままごみとして破棄? 投票用紙のその後を調べました。
開票が終わった後、投票用紙が向かう先は? 結論からいうと、市町村の選挙管理委員会で保管されます。期間は、その選挙の議員または長の任期が終了するまでの間です。選挙後に訴訟が提起された場合などあらためて必要となることもあるためです。
公職選挙法の第71条「投票、投票録および開票録の保存」には、「投票は、有効無効を区別し、投票録および開票録と併せて、市町村の選挙管理員会において、当該選挙にかかる議員、長または委員の任期間保存しなければならない」とあります。
投票録とは投票所ごとに作成され、管理者や立会人の名前、有権者数、投票者数などが記された書類です。開票録は管理者や立会人の名前、有効投票数、候補者(政党)の得票数、無効票数などが記入されます。こうした書類とともに、数え終わり点検が済んだ開票所の投票用紙は、有効無効を区別した上で、段ボール箱などに入れられ密封梱包されます。
神戸市の場合、投票用紙は各区の選挙管理委員会が保管しています。中央区役所では鍵付きの倉庫で収納されています。選挙別に段ボール箱に入れられ、ふたの合わせ目にはガムテープを貼り、管理者や立会人がそれぞれの印鑑で割り印を押しています。また未開封、未使用の投票用紙も保管しています。正当な理由なく、封印を破り中身の投票用紙を取り出すと、刑法第96条の封印等破棄罪に問われ、3年以下の懲役または250万円以下の罰金に処されます。
保存期間が過ぎた投票用紙はどうなるのでしょうか。中央区選管の場合、市選管から処分の連絡があると、職員がごみ処理施設に持ち込んで焼却に立ち会っています。
なお、投票用紙の紙そのものは、木材パルプを原料とした一般的なものではなく、ポリプロピレン樹脂を主な原料とするフィルムの一種。軽い筆圧でしっかり書ける、水に強い、普通の紙よりも破れにくい、折り曲げても自然に開くーなどの特性があり、厳密には「紙」ではありません。このため、プラスチック製品としてリサイクルする自治体もあるそうです。
(まいどなニュース・竹内 章)