昭和の懐かし「紙せっけん」コロナ禍で再ブーム!? 年間売り上げ35万円→370万円に

 最近、京都土産やショップのノベルティとして立て続けに「紙せっけん」をもらいました。昭和世代の筆者にとっては子どもの頃に流行していた懐かしのアイテム。もしかして再ブーム? 現状を調べると、コロナ禍を境に売り上げが10倍超になった製造元もありました。

 紙せっけんは水で溶ける薄い紙でできた携帯用せっけん。1枚ずつの使い切りになっており、手のひらの上で軽く水を含ませ両手でこすると泡立ち、紙が手指に残ることもありません。

 Twitterでの反応を調べると、「外出先にハンドソープがなくても安心」「公共の液体せっけんを触りたくない時に助かる」「持ち運びに便利」「薄くて軽くかさばらない」「持ち歩いても液漏れの心配がない」といった声が多く、利便性の高さが見直されているようです。

■売り上げ、1年で35万円→370万円

 「廃盤にしようと思っていました」と話すのは、紙せっけんの製造を行う「ヘイワ原紙」(本社、高知県高岡郡日高村)代表取締役の山岡大祐さん。

 同社は1989(平成元)年から紙せっけんの製造を開始。ここ数年は「商品として寿命がきた感じでした。目新しさがなかった。メリットも感じていただけなかった」と振り返ります。

 ところが、コロナ感染対策として入念な手洗いが呼び掛けられるようになると、商社などから製造に関する問い合わせが入り始め、「コロナにより注目され、一定の売り上げが出るようになりました」。令和元年度には約35万円だった売り上げ金額は、令和2年度には約370万円と急激に伸びました。

 紙製品の製造加工「富士紙化学」(本社、高知県土佐市)も受注が増加したメーカーの一つ。オリジナル紙せっけん「龍馬の紙石鹸ぜよ」も販売しています。担当者に最近の傾向を尋ねると、香水ブランドや香料メーカーからの香りにこだわった紙せっけんの発注が増えたといい、「手洗い後、手に好みの香りを残したいという声があるようです」。

■メーカー「品切れ続くヒット商品」

 Twitter上には「紙せっけんって何?」「もらったけどどうやって使うの?」という若者の声もありました。そんな世代に向け、若者に人気のブランドも商品化に乗り出しました。

 「HIGHTIDE」のロゴで知られる手帳や雑貨のメーカー「ハイタイド」(本社、福岡市中央区)では今年3月、同社ブランド「ニューレトロ」シリーズから紙せっけんを発売しました。

 紙せっけんの取り扱いは今回が初めて。同社担当者に発売の理由を聞くと「ニューレトロはレトロな色合いやモチーフを日常小物に落とし込んだブランドとなるため、紙せっけんという懐かしいアイテムが、コロナ禍での消費者の衛生観念の高まりからニーズがあるのでは、ということで商品化いたしました」。

 発売後、SNSを中心に大きな反響があり、全国放送のテレビ番組でも取り上げられ、「発売から3カ月で12000個以上を売り上げ、しばらく品切れが続くなどヒット商品となりました」。

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 コロナ禍によって再注目される古くて新しいたしなみグッズ。お気に入りの「マイ紙せっけん」を見つけて、予想される第6波に備えたいですね。

(まいどなニュース・金井 かおる)

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