子猫を発見したが、動物は苦手…「どうしても見殺しにはできない」 長野の山道にいた3匹の新たな居場所
■山道にいた3匹の子猫
ソラくんとシシ丸くん(生後4ヶ月・オス)は、山道にいたところをもう1匹のきょうだい猫と一緒に保護された。今年6月、都内に住む小澤さんに、長野県の実家に住む母親から電話があった。聞けば、母親の会社の同僚が「3匹の子猫を見つけた」という。その同僚は動物に触るのも苦手で「自分は保護できないが、どうしても見殺しにはできない」と、動物好きの母親に相談をした。
実家にはすでにラブラドール犬2匹と9歳の猫がいた。猫は母親が保護した猫だった。連絡を受けた後、すぐに駆け、しばらくは木陰で母猫が戻ってくるかもしれないと見守っていた。しかし、1時間以上待っても母猫が来る気配はなく、周囲にカラスが飛んでいたので、子猫たちを保護。その日のうちに動物病院に連れて行った。
■「うちに迎えてあげたら」
推定年齢は1ヶ月くらい。いつから外にいたのか分からないが、3匹とも見る限り健康そうだった。子猫たちが保護された当日、小澤さんは子どもたちを幼稚園に迎えに行って帰宅途中、いつも会う地域猫と戯れていた。子どもたちは「猫ちゃんかわいいね。おうちに来ないかな~」と話していたが、ちょうどその時、実家の母親から「子猫を保護した」というメッセージとともに3匹の可愛いらしい子猫の写真が送られてきた。
子供たちはすぐに「一緒に暮らすー!」と言ったが、家には先住犬がいる。衝動的に決めるものではないと思った小澤さんは「どうかな~」と言葉を濁していた。その後、数日が経ったが、“里親”は見つからない。保護中の子猫の写真でながめていたら、小澤さんの夫から「うちに迎えてあげたら?」と声をかけられた。その一言が、迷っていた小澤さんの背中を押した。すぐに飼育環境の確保や今後の資金、先住犬のケアなど子猫たちを迎えるための準備を始めた。
6月下旬、土日を利用して実家に帰省し、写真でしか見たことがなかった子猫たちに初めて会った。キジトラのオス2匹と、三毛猫のメスだった。「3匹の名前は母と相談して決めました。ちょうど 娘がピアノを始めたこともあり、音楽のように楽しい気持ちで名前を呼んであげたいと思い、ソラ、シシ丸、ミミ」と名づけました」。3匹のうち、シシ丸くんが娘にすごく懐いた。実家で過ごした1泊2日の間、ずっと娘を追いかけていた。当初は小澤さんに懐いたソラくんを迎えるつもりだったが、その様子を見てシシ丸くんも一緒に迎えることにしたという。ミミちゃんは小澤さんの父親にすごく懐いていたため、そのまま実家で飼うことになった。
■猫を迎えて毎日が幸せ
子猫たちを東京に連れて帰り、健康診断もワクチンも無事完了し、大きな問題なく 3ヶ月ほどが過ぎた。先住犬は、初めて見る人間以外の種族におっかなびっくり!恐る恐る匂いを嗅いでいたが、今では寄り添って寝るほどお互い気を許している。
シシ丸くんは相変わらず 娘さん一筋。学校から帰ってくると真っ先にすり寄りゴロゴロする。夜中も寝ている娘さんに頭をぐりぐりしたり、 顎を甘噛みしたりする。「おっとりとした性格で 慎重派なので、初めて見るものは必ずソラの後ろからのぞき込みます。でも、食い意地はすごいので、何かを食べようとすると、ソラよりも早く、すかさずやってきます(笑)」。ソラくんは、好奇心旺盛なイタズラっ子で、なんでもかじったりひっくり返したりする。 家には来てから3日も経たず、全ての部屋を“探検”した。小澤さんの肩に乗るのが好きで、まったりしているとよく飛び乗ってくるので、肩が傷だらけになるという。
猫たちを迎えて子どもたちと夫に変化があった。片付けなど部屋の整理をするようになった。「犬と違って机やカウンターにも簡単に飛び乗れるので、危険なものがないようにみんなが気をつけるようになったんです。おかげで部屋が少し綺麗になりました。子どもたちは毎朝早起きをして、猫のトイレを掃除してくれます」。夫は犬を飼う前は動物が苦手で今でも大型犬が苦手だが、猫たちに赤ちゃん言葉で話しかけてメロメロになっている。
「毎日が今まで以上に賑やかになり、大変なことも増えましたが、それ以上に幸せな気持ちになれて、満ち足りた暮らしをしています。夫や子どもたちに怒ることもめっきり減って、穏やかな気持ちで過ごせるようになりました。本当にこの子たちのおかげです」。なぜ山道にいたのか分からないが、生きて実家の母親に保護されたこと、家族になってくれたこと。小澤さんはすべての奇跡と縁に感謝をしているという。小澤さんと母親は「この子達のお母さんが今あたたかい場所で、元気で幸せに暮らしていてくれたらいいな」と願っているそうだ。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)