いったいどうしたの?大量の卵白が発生…実は「カヌレを作った後の余りです」 使いみち巡りネットで話題
大量の卵白がタッパーに入った画像がTwitterに投稿され大注目を集めました。画像を投稿したのは、YouTubeチャンネル登録者数20.6万人を誇るスイーツ作りの達人、ネコノメさんのアカウント(@NekonoMECafe)。実はこちら、新しく立ち上げたオンラインパティスリーショップ「Chat LuuME【シャルーメ】(@Chat_LuuME)」の第1弾商品「カヌレ」作りで余った卵白だそう。この大量の卵白の行方は一体!?
写真には、
「元々カヌレは、ワイン造りが盛んなボルドー地方でワインの製造に卵白を使う為、大量の余った卵黄を活用すべく生まれたお菓子と言われています。」
「なのでお菓子屋さんでカヌレをやると大量の卵白が余り、ワイン造りでもしたろかという本末転倒な事態になります。」
との文言が添えられており、「ワイン造りに卵白とは」という疑問の声から、「卵白をマカロンにするか…ボディービルダーに寄付するとか…」などの提案、さらに「シフォンケーキ作るので卵白カモーンです。いつも卵白に飢えていて…」という懇願まで、ありとあらゆる種類のコメントがツイートに舞い込みました。
そこで「ワイン造りで卵白が果たす役割」から、ズバリ「写真の余った卵白はどうするの!?」まで、ストレートに疑問をぶつけてみました。教えて、ネコノメさん!!
--カヌレの歴史について教えてください。
カヌレはその形も独特なもので、正式名称としては「カヌレ・ド・ボルドー(Cannelé de Bordeaux)」と言います。フランスのボルドー地方で生まれたお菓子で、カヌレは「溝」や「溝のついた」という意味があります。
ボルドー地方はワイン造りが盛んな土地で、ワイン造りの技術の中に卵白清澄(コラージュ)というものがあります。卵白にはアルブミンという成分が含まれており、これがワイン中のタンニンという渋味成分と結びついて沈澱するので、この性質を使ってワインから渋味を取り除くのに一役買っていたと言われています。そこで大量に余った卵黄をどうにか消費すべく、ボルドー女子修道院で生まれたお菓子、という説が一般的に広く受け入れられています。
ただ、お菓子の歴史って諸説ありまくりで証拠は全然ないってことが本当に多くて、カヌレについても「cannelé」の更に語源とされる「canelat」という単語は「溝」の他にも「フルート」という意味があり、元々は棒状のお菓子だったのではないかという説、実はパンがルーツとする説があったり、フランス革命の影響でカヌレについての記述やレシピがほとんどなくなってしまっているという話もあり、正直なところ分かりません(笑)。
--諸説あると。何にせよ、写真の卵白の量には圧倒されました。これはカヌレ何個分の「余り」なのでしょうか?また、お菓子づくりの現場では余った卵はどうしているのですか?
大体ですが800個分ほどの余りだと思います!カヌレの話からは少し逸れてしまうのですが、お菓子屋さんではまず、殻付きの卵を使うケースと凍結卵を使うケースに分かれますね。
--凍結卵とは?
凍結卵は卵を割卵、殺菌して大きめの牛乳パックのようなケースに入れてあるものです。一般的にはなかなか見かける機会がないですが、
・殻が混入する心配がない
・割卵の手間が省ける
・殺菌されている
・凍結卵黄、凍結卵白などもあるので卵の使いたい部分だけ使うことができる
などの理由から使用しているお菓子屋さんも多くあります。
反対に、価格の面や卵のブランド、凍結による卵の性質の変化(※)などの面から、殻付き卵を使用しているお菓子屋さんも沢山あります。
※「卵液粘度の違いからくる調理特性の比較を行なっている論文を拝見しただけで、僕が実際に性質について詳しく調べたわけではないです!」(byネコノメさん)
--それぞれメリットがあるのですね。
ちなみに僕のお店でも、今後は生菓子を取り扱う予定があるので衛生面を考えて凍結卵に切り替えていこうかなぁと考えています!
--投稿に大きな反響がありました。感想はいかがですか?
お菓子屋さんではよくある光景でも、確かにこんな量の卵白見る機会ってないですもんね(笑)。皆さんから色んな感想が聞けてめちゃくちゃ楽しいです!!お店の方でこれだけの卵白が出るので、皆さんからもらったアイデアをまとめてYouTubeで企画にできたりしたら面白そうな気がします!
◇ ◇
写真の卵白の使いみちについてもたずねると、「現在、あの卵白たちは密閉して冷凍保存しており、今後卵白を使った商品を作る予定があるのでそこで使っていくつもりです!ぜひ楽しみにして頂けると嬉しいです!!」とのことでした。どんな素敵なお菓子が生み出されるか注目したいですね。
(まいどなニュース特約・山本 明)