公園に残された3匹の子猫 母猫は姿を消し、1匹は首と足にひどいただれ 「どうすれば…」

■親子猫現る

くりちゃん(オス)、ぶぶちゃん(オス)、ぷぷちゃん(メス)は、野良猫の母猫に育てられていた。

大阪府に住むMさんは、家から自転車で30分ほどのところにある公園によく行っていた。今一緒に暮らすサビ猫のポテトちゃんと出会った公園だった。帰ろうと思って公園を出ようとすると、木の茂みからカサカサという音が聞こえてきた。

「なんだろうと思って自転車を停めると、黒猫と3匹の子猫がとび出てきたんです。子猫たちは私のことを警戒していました。生後1ヶ月か2ヶ月くらいでした」

Mさんはちょうどごはんを持っていたので与えると、母猫も子猫もお腹をすかせていたようで必死で食べたという。

■連れて帰れない

ひとしきりごはんを食べ終わると、子猫たちは母猫に寄り添って昼寝を始めた。

「ほっこりした気持ちになりました。近所の方に餌をあげる許可を得ました。後日気になってまた公園に行くと、他にも餌やりさんがいるようでした」

しかし、その人は、ごはんをあげる容器をいつも置きっぱなしにしていて、人間の残飯を与えていた。Mさんは母猫と子猫のことが心配になったが、Mさんの夫は猫が好きなわけではなかった。Mさんが2020年に同じ公園で保護したぽてとちゃんを迎えた時に、「もう公園には行かない、猫に出会っても連れて帰らないと約束するならこの子を迎えていい」と言われていた。そのためMさんは数日間猫たちの様子を見に行ったが、やはり公園には行かないことにした。

「でも、いきなり胸騒ぎがしたんです。どうしてもあの子達を見に行かなくてはいけない!と思いました」

急いで公園に行くと、あまり懐いていなかたのに子猫たちは自転車の音に気づいてすぐに来てくれた。Mさんはとても嬉しかったが、いつも先に出てくる母猫が出てこなかった。「どうしたのかな?」と思ったが、母猫は姿を見せなかった。冬だったこともあり子猫たちはみんな猫風邪をひいていて、身体が鼻水まみれになっていた。3兄妹の中で1番ガリガリだったくりちゃんが先に懐いてくれたので、Mさんは目や身体を拭いた。数日後、ぶぶちゃんも触れるようになったので、目ヤニを取って身体を拭いた。一番怖がりなぷぷちゃんは全く触らせてくれず、少し離れて様子を見ていた。

■家族になれた

それから3ヶ月経ったが、母猫は現れなかった。

「この子たちを連れて帰ることはできないし、TNRすることを考えていました。ある日、くりちゃんを撫でていると足と首がただれていました。とても痛そうでしたが、私はどうしていいのか分かりませんでした」

翌日、ただれは悪化して広がっていた。

「これはダメだ!くりちゃんとぶぶちゃんは、触らせてくれるので保護は難しくないけど、ぷぷちゃんが触れない…でも、3兄妹を引き離したくはない」

Mさんは夫に「もう公園には行かないで」と言われていたので内緒で通っていたが、カゴを取りに家に戻り、また公園に向かった。夫には、「くりちゃんを病院に連れて行く」と言った。公園に戻ると、くりちゃん、ぶぶちゃんに続いてぷぷちゃんも近くに来てくれた。Mさんはカゴにくりちゃんとぶぶちゃんを入れ、ネット袋にそっとぷぷちゃんを入れた。すぐに動物病院で診察してもらい、家に連れて帰ったという。

ぶぶちゃんの風邪が悪化し、鼻に管を通したので自力でごはんを食べられなくなり危険な状態が続いた。みんなの風邪のケアとくりちゃんの皮膚のケアを続けると、3週間ほど経つとみんなの状態が良くなった。夫も徐々に受け入れてくれるようになり、3匹はやがて家族になった。

先住猫たちと3匹は一緒に遊んだり、寝たりして仲良くやっている。風邪の症状が酷かったぶぶちゃんは涙と鼻水が治らず、今でも毎日薬を飲んでいるが、元気いっぱいという。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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